SNSで情報収集をすると失敗する理由。
これにはいくつかの要因が考えられる。
しかし膨大な解説になるので、今回は1つだけ解説したいと思う。
栄養と健康に興味がある人はそのまま読み進めて欲しい。
そうでない方は構造を理解して、自分の関心事に当てはめながら読んで欲しい。
情報を取得して問題解決を行うという行為をする際に、誰しもが通る道の話をする。
①情報収集の初心者が通る道
情報収集を始めた頃に、分子栄養学の関連のアカウントを片っ端からフォローした経験は無いでしょうか?
この頃は、まだ情報の取捨選択ができないので集めるばかりになってしまいます。
日常生活では知り得ない目新しい情報に触れることで、『目覚めた』という感覚を持つ者もいるかもしれません。
分子栄養学を極めれば何でもできると、思い込んでしまう時期でもあります。
かつての私もそうでした。
栄養状態を整えれば、練習無しでフルマラソンが走れるのではないかと考えた時期もあります。
最初から自分に必要な情報だけを選べるセンスがある人は居ません。
だから、この状態を恥じる必要はありません。
しかし、何年もこの状態だと困ります。
次の項で、なぜ困るのかについてお話します。
②情報を切り捨てる必要性
栄養界隈は魑魅魍魎の世界だと先日お話しました。
悪意の有る無しに関わらず目新しいことを言って、注目を浴びようとする輩がたくさん居ます。
例えばこんな情報があったとしましょう。
『グルタミン酸は副腎疲労を悪化させる。グルタミン酸の摂取を控えないと副腎疲労は改善しない』
初心者の頃にこれを見ると自分にも当てはまる情報かと思ってしまい、グルタミン酸を避けようとします。
グルタミン酸が豊富な食材はたくさんあります。
- 肉類
- 魚介類
- 乳製品
- 卵
- 豆類
- ナッツや種子
- 穀物
- 野菜
- キノコ
- 昆布
これらの食材を避けないと副腎疲労が悪化すると信じたら、栄養バランスの整った献立は作れません。
たんぱく質やカロリーの不足により、副腎疲労が悪化することは確実です。
一方、情報の配信をする側は無責任なので、グルタミン酸を除去した上で栄養バランスが取れる献立を教えてくれることはありません。
注目が浴びたいだけなので、代替案なんて最初から考えていないのです。
とりあえず、世間の人が知らない情報を出せば満足です。
しかし、そんな情報の方が注目されやすいという現状があります。
こうして、承認欲求の化け物のようなインフルエンサーが誕生します。
このような人を信じると健康を害します。
私が蕁麻疹が出ていた頃の偏食っぷりは凄まじいものでした。
- じゃがいも
- いんげん
- 甘酒
この3品だけで過ごしていた時期もあります。
当然体調は悪化しました。
3大栄養素やカロリーの概念なんてまるでなく、管理栄養士に見せたら即指導されそうな内容です。
グルタミン酸の他にも分子栄養学で避けた方が良いとされる食品はたくさんあります。
それはいったい誰向けの情報なのでしょうか?
自分に不必要な情報を切り捨てないと健康になれません。
片っ端から参考にしたら絶対に矛盾が生じて別の問題が発生するのです。
次のステップに行くにはどうしたら良いか解説します。
④噂から論理へ
前の項で、不要な除去食で栄養バランスが崩れるリスクについて解説しました。
この項では、こうした失敗を避ける方法を紹介します。
栄養学の基本は3大栄養素である【炭水化物】【脂質】【たんぱく質】のバランスを取り、様々な食品を取り入れることです。
こうすると、自然とビタミンとミネラルのバランスも整います。
この状態にできるだけ近づけることが理想なので、除去食を増やせば増やす程理想から遠くなります。
不要な除去食を疑問無く取り入れてしまうのは、栄養学の基本を知らないからです。
栄養バランスを気にして献立を用意する習慣があれば、除去食で体調が悪化しやすくなることが想像できます。
このため、分子栄養学より先に栄養学を学んでおく必要があります。
今までとは別の視点でチェックすることで、無自覚なまま栄養バランスが整わない食事を取ることを防ぐのです。
次の項では、具体的に何をすれば良いか紹介します。
⑤栄養素の種類・名称・量
各栄養素の働きと摂取量の目安を知ることで、栄養バランスを知ることができます。
例えば成人女性であれば、たんぱく質の推奨量は1日50gとなっています。
こうした基準を定めているのが『日本人の食事摂取基準』です。
厚生労働省が出している資料なので、誰でも無料で見ることができます。
ただし数百ページにも及ぶ難解な資料なので、いきなり読み込んで理解するのは難しいでしょう。
そこで、平たく解説している書籍で学ぶことをオススメします。
女子栄養大学出版部の『栄養素の通になる』などは栄養学を学ぶ上で必携の書籍です。
ここで学べるのは以下の3つです。
- 各栄養素の名称
- 各栄養素の働き
- 過剰、欠乏の起きる量と適切な量の目安
これらは栄養素と量という数字だけの情報であり、献立には繋がりません。
どんな食品に各栄養素が含まれるかという情報はありますが、具体的な献立には言及されていません。
そこで献立作りを学ぶ必要があります。
⑥栄養学を翻訳して献立を作る感覚
各栄養素の【種類】と【数値】という情報を献立に落とし込みます。
- たんぱく質50g
- 脂質20g
- 炭水化物100g
で献立を作ってくださいと言うと、100人が100人別の料理を作るはずです。
ある人は、この数値にするための食材選びができないかもしれません。
ある人は、美味しく料理を作ることができずに食べられないかもしれません。
ある人は、料理を作るという概念が無いので自炊は難しいかもしれません。
ここから先は、各個人が自分の課題とライフスタイルに合わせて工夫します。
どうしても自炊をしたくなければ、コンビニで栄養バランスが整う商品を選ぶという方法もあります。
今までその日に食べたいものを買っていた人が、カロリーや各栄養素の計算を始めたら大きな進歩です。
では、何のために分子栄養学が必要が再確認しましょう。
⑦分子栄養学を学ぶ理由
- グルテン
- カゼイン
- 砂糖
- レクチン(ナス科の植物)
- グルタミン酸
- ヒスチジン、ヒスタミン
これらの摂取を控えたり、量を調整した方が良い人が居るのは確かです。
しかし、これらの除去食を栄養学では学びません。
せいぜい、即時型アレルギーの食品は避けるという知識しかないのが現状です。
では以下のような人はどうすれば良いと思いますか?
- 栄養バランスを整えた食事をしているのに、不調になる。
- 病院に行っても原因不明で匙を投げられ、精神科を勧められる。
そんな人が辿り着くのが分子栄養学です。
- 稀にいる体質で特定の食品が悪影響を及ぼす
- 標準治療で原因不明の疾患で特定の食品を食べると不調になる
そんな人が、分子栄養学の知識で体調が改善する場合があります。
しかし、栄養学の知識を医師、分子栄養学カウンセラーが持ち合わせていないので、急性期の状態悪化に対応できても、その先の指導ができないのが現状です。
このため栄養学も分子栄養学も学ぶ必要があるのです。
どこかの先生の言う通りにしたら、今の症状が治って今後も健康に暮らせるということはありません。
自分で勉強して『何を食べるか』という答えのない課題をより精度の高いものにしていくことが唯一の健康への道です。
⑧情報源は成長に伴い変わる
今まで分子栄養学の人を片っ端からフォローしていた人は、このままではいけないと気がついたはずです。
そして栄養学を勉強すると分子栄養学関連の人たちが、いかに矛盾だらけの投稿をしていたか理解できるようになります。
そうした人たちのフォローを解除して、栄養学の理解を深めます。
料理の腕を上げるために、栄養価計算がされている献立集などを買うかもしれません。
そして気がつくはずです。
矛盾なく栄養学と分子栄養学を繋げて考えられている人が、ほとんど存在しないことに。
今の不調を改善させるために必要な知識を全て得ようとしても、提供している人が居ないので自分で構築するしかありません。
体調が悪化している状態でそれをするのは大変なので、これからの配信でその方法について解説していきたいと思います。