たんぱく質の分子が大きいと、消化の負担になります。
また、食物アレルギーの体質がある人は、特定の食品の分子量が3,000~5,000Da以上になると、症状が出やすくなると考えられます。
分子の大きさはDa(ダルトン)という単位を使います。
350~400Da程度が、最も消化に良いと考えられます。
プロテインや、その他のたんぱく質・アミノ酸の製品を選ぶ際の参考にしてみてください。
ここからは実際の商品をピックアップして、それぞれの特徴を紹介します。
おさかなコラーゲンペプチド
平均分子量は3,000Daなので、アレルギーの発症を抑える大きさではないかもしれません。
ただし、3,000~5,000Da以下なら発症しないと考えられるので、通常の魚を食べるよりは、だいぶ症状が出にくいと考えられます。
また、平均はあくまで平均なので、最大の分子量のたんぱく質がどれだけ残っているかは不明です。
平均が3,000Daだとしても、10,000Daの分子が残っていればアレルギーの発症は起きる可能性があります。
アレルギーを考慮せず、通常のたんぱく質の摂取源として考えたときに、非常に優れた製品です。
胃もたれもほとんどなく、味の癖も無いので汁物に入れると、たんぱく質を摂取している自覚無く美味しく頂くことができます。
ただし、コラーゲンなので必須アミノ酸の割合は少ないです。
EAAや、他の必須アミノ酸が豊富に含まれる食材で補う必要があります。
コラーゲンの合成の命令を出す、ヒドロキシプロリンが豊富なので、肌や腸壁にも良い影響があるかもしれません。
美容や腸活に興味のある方にもお勧めです。
ホエイペプチドアミノコンプレックス
牛乳から得られた通常のWPCのホエイプロテインを、酵素で分解して平均分子量400Daまで小さくしたWPHというタイプの製品です。
通常のプロテインだと胃もたれがするという人や、激しいトレーニング後に胃腸の血流が少ないときでも、大量のたんぱく質を摂取したいときなどに重宝します。
この製品も平均分子量は400Daであることがわかっていますが、最大分子量はわかりません。
よって、ホエイに食物アレルギーがある人が、アレルギー症状を発症しない保証はありません。
ドクターズサプリなどで、更に体感の良い商品はありますが、高額だったり、紹介が無いと買えないなどのデメリットがあります。
私は普段はマイプロテインのWPHと、ドクターズサプリのプロテインを使っています。
マイプロテインとドクターズサプリの両方で平均分子量の開示が無かったため、ゴールドジムの製品を紹介しました。
ホエイプロテインは必須アミノ酸のバランスが申し分無いので、他の食べ物からのたんぱく質が不足したときに補う用途として利用できます。
ただし、鉄や亜鉛、各種ビタミンなどの肉などから得られる栄養素は別途考える必要があります。
だし&栄養スープ
分子栄養学の界隈で誤った情報が拡散されている、誤解の多い製品です。
たんぱく質の補給になるとか、吸収が良いなどと言われることがあるのですが、そもそも出汁は調味料なので、それほどたくさんは使いません。
たくさん使うと出汁の味が強烈過ぎて、美味しく頂くことができません。
これをたんぱく質補給として勧めてしまう人は、量の概念が欠如しているか、大量に出汁を飲んでも舌が平気な人です。
ちなみに、資料が川に流されてしまい、平均分子量はわからないと製造会社の社長から言われています。
この製品はサプリではなく、調味料なので平均分子量までは調べられなくても仕方が無いと思います。
健康効果を期待して利用するものでは無く、料理の味を整えるものです。
また、インタビュ-記事に以下のような記載があり、製造会社の社長に真意を聞いてみました。
『だし&栄養スープ』を飲んでいて視力が変わったり
https://www.thd-web.jp/blog/5533/#toc2
この仕組みは、魚の目玉の情報によるものだそうです。
「だし&栄養スープ」500gの中に魚を200匹ほど使いますので海で浄化された目玉の
https://www.thd-web.jp/blog/5533/#toc2
情報が400個入っていることになります。
言ってることがよくわかりませんが、疑似科学として有名なホメオパシーの理論のようです。
いろいろなこだわりで食品を作るメーカーが存在することで、切磋琢磨できるので、こういった考えの人が食品を作ることは否定しません。
ただし、分子栄養学の関係者が、この説明をしている製品を持ち上げるのは看過できません。
分子栄養学は科学であり、再現性が必要となります。
魚の目玉の『情報』で視力が良くなるという根拠の製品を推すカウンセラーが居たら、それは分子栄養学の考え方とは異なります。
製品の名誉のために付け加えますが、妥当な量を使用した際の味は、ほどほどに良いです。
ただし、自分で出汁を取った方が格段に美味しいです。
身体が弱っていて出汁を取る余裕が無いときでかつ、味の素などの単純な旨味が好きではないという嗜好であれば、選択肢の1つとして考えても良いと思います。
ニューMA-1
こちらは、牛乳にアレルギーがある人でも飲めるように設計されている製品です。
(私がアレルギーを発症しないことを保証することはできないので、使用の際は医師や製造メーカーにお問い合わせください)
独立行政法人環境再生保全機構のHPによると、平均分子量は300Daで、最大が1,000とのことです。
アレルギーの発症に3,000~5,000Daが必要とのことなので、このスペックに誤りが無ければ、アレルギーは発症しないということになります。
牛乳を摂取できない体質の人が、この製品で牛乳を飲めることで、たんぱく質やカルシウムなどの必要な栄養素を補うことができるようになります。
また、乳糖も除去しているそうなので、乳糖不耐症の人でも安心して飲むことができるようです。
さいごに
消化やアレルギーの発症に関わる平均分子量の話をまとめてみました。
日々の生活の中では、肉を麹や舞茸に漬けるなどをしてもたんぱく質の分解を促進できます。
また、ブロメラインなどのたんぱく質の消化酵素のサプリを利用しても、消化しやすくなります。
蕁麻疹や喘息などの明確な症状が現れなくても、特定のたんぱく質の摂取後に脈や血圧が上がったり、ダルさや気分の悪さなどがある人も多いと思います。
そうした人は、その症状が当たり前になっていて気が付かないかもしれませんが、たんぱく質の消化が適切にできていると食後の身体の感覚が軽いのがわかると思います。
食べるという行為が何となく苦手だと思う人は、たんぱく質の平均分子量を気にしてみると良いかもしれません。