いつも疲れた状態で生活してませんか?
それは副腎疲労かもしれません。
今日は分子栄養学の基本である、副腎疲労の仕組みと対策を再確認しましょう。
今から紹介することができていないと、何をやっても上手くいきません。
副腎疲労を最短で解決する方法とは→ まずは副腎疲労とは何か復習しましょう。
副腎疲労はある
副腎疲労なんて無い、という主張をする人がいます。
現在の標準治療でも存在が認められておらず、普通の病院に行っても相手にされません。
しかし現実に診断が下されない、もしくは誤診されてしまい、まともな診療を受けられない不調が存在します。
そこでアンチの人にも理解ができるように、論理的に解説していきます。
ストレスという概念を生み出したのは、カナダの内分泌学者のハンス・セリエとされています。
これは厚生労働省のホームページにも載っていて、医師や看護師が学習する内容です。
詳しくは以下のワードをGoogleで検索すると、厚生労働省のHPで確認できます。
ハンス・セリエは実験動物のラットにさまざまなストレスを与えてから解剖を行い、器官の変化を確認することで、外部刺激による生体への影響を調べました。
ラットに具体的には寒冷、外科的手術、過酷な運動などをさせてから解剖を行うことで、以下の変化を確認しました。
- 副腎皮質の肥大
- 胃潰瘍の発症
- 扁桃体や脾臓の萎縮
この研究により、以下のような画期的な発見がされました。
- ストレスは単なる心的経験ではなく、生理学的な反応として体内で起きている
- 多様なストレッサー(寒冷・手術・薬物など)に対して身体は同じ反応をする
- 長期的なストレスは免疫力の低下や疾患のリスクを増大する
そしてハンス・セリエは、ストレスを与え続けた場合の生体への影響を以下の3つの段階にまとめました。
これらのストレスへの生体反応のモデルを『汎的適応症候群(General Adaptation Syndrome、GAS)』と言います。
1.警戒反応(Alarm Reaction)
- 交感神経が活性化して、「戦うか逃げるかの反応」(”fight or flight” response)が引き起こされる。
- 副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが放出され、心拍数や呼吸が増加する
2.抵抗期(Resistance Phase)
- このフェーズは持続的なストレッサーへの適応反応として表れる
- 副腎皮質からコルチゾールが放出され、体がストレッサーに長期間対応しようとする
3.疲弊期
- このフェーズは、ストレッサーが持続的に体に影響を与え続けた場合に表れる
- 過剰になったコルチゾールから身体を守るために、分泌を止め始める
- 免疫機能の低下、慢性の疲労、疾患のリスク増加などの健康上の問題が現れる
副腎疲労という概念は、元はこのハンス・セリエが提唱した、汎的適応症候群を意味します。
汎適応症候群なら学校で習ってるはずなので、否定する医師や医療職が居たら言葉を言い換えれば伝わるはずです。
汎適応症候群が副腎疲労と呼ばれるまで
副腎疲労(Adrenal Fatigue)という言葉を作ったのはジェームス・ウィルソンです。
彼は『Adrenal Fatigue: The 21st Century Stress Syndrome』という書籍で副腎疲労について説明しています。
日本では『医者も知らないアドレナル・ファティーグ』という書籍として翻訳されています。
この書籍の中で強調されているのは、『Adrenal Fatigue』を訳すと『副腎疲労』ではなく『副腎疲労症候群』ということです。
ストレスで副腎が疲労するという状態を言っているのではなく、副腎の機能低下により起きる諸々の症状が、副腎疲労症候群です。
わかりやすく伝えるためか、「副腎が疲弊させる」という表現を用いている部分がありますが、これがアンチに指摘される点になります。
ストレスにより副腎は疲弊しません。
命令さえ来ればコルチゾールを出し続ける能力があります。
しかし、視床下部と下垂体が副腎に対してコルチゾールを分泌する命令を止めれば、副腎疲労の諸症状が現れます。
実態があり対処法も確立されているのに、言葉尻を捕まえて「副腎は疲労しないから副腎疲労は無い」と叫んでいるのがアンチの実態です。
アドレナル・ファティーグの書籍では、主に栄養摂取による副腎疲労の改善法が書かれています。
それが分子栄養学に取り込まれて、栄養療法で副腎疲労を治すという流れになっています。
副腎疲労の判定
副腎疲労の検査は唾液のコルチゾールで行います。
コルチゾールには2種類あります。
- 身体で使える『自由コルチゾール』
- そのままでは活性がない、たんぱく質と結合した『結合コルチゾール』
血液検査でコルチゾールを調べると、この両方を測ってしまうため、実際に身体で使えるコルチゾールの量がわかりません。
そこで唾液コルチゾール検査を行います。
唾液コルチゾール検査は主に、8時、12時、16時、深夜の4回の計測を行います。
これにより1日の間のコルチゾールの変動パターンを把握して、対応を考えることができます。
唾液コルチゾール検査でコルチゾールの分泌量が少ないことがわかり、体調不良が出ている人に対して、アンチは副腎疲労は無いと言い続けるのでしょうか?
コルチゾールの分泌が低下する仕組みがハンス・セリエによって解明されていて、実際に測定すると分泌が低下している。
この客観的な事実を見ても、副腎は疲れないという言葉遊びをやめないのでしょうか?
標準治療で対応されず、精神科などで誤診されている状況を放置する方が余程問題だと思います。
副腎疲労とは何か
ここまでコルチゾールというホルモンの名前を出していましたが、その役割についての説明がまだでした。
コルチゾールは抗炎症と血糖値上昇の作用を持つホルモンです。
つまり、コルチゾールの分泌が低下すると、炎症が抑えられなくなり、低血糖になりやすくなります。
そうなるとアレルギー、胃腸の炎症、頭痛、目や皮膚の痒み、アトピーなどの炎症症状が抑えられなくなります。
そして血糖は身体のメインのエネルギー源なので、低血糖になれば疲労感、思考力の低下、感情の浮き沈みなどが起きやすくなります。
これがハンス・セリエの提唱する疲弊期の状態で、副腎疲労症候群と呼ばれるものです。
理屈の話ばかりだと、わかりにくいと思うので、副腎疲労疲弊期になった人の朝の習慣を見ていきましょう。
疲弊期のモーニングルーティーン
朝6時。
目覚ましが鳴っているけど全然起きれません。
健康な人であれば朝方にコルチゾールが出て、適度な緊張と血糖値の上昇によりスッキリ起きる事ができます。
しかし疲弊期だと低血糖で脳にエネルギーが届かず、目を覚ますことができず眠いままです。
やっと目を開けようとしたけど、目ヤニで目が開きません。
炎症を抑えることができないので、目やにが増えています。
ようやく起きたが、今度はクシャミが止まりません。
これをモーニングアタックと言います。
少し気道の閉塞感があるまま、職場に行く支度をします。
夜間にコルチゾールで血糖値を上げれなかったため、代わりにアドレナリンで血糖値を上げており、交感神経が優位になっていて胃腸が動きません。
だから食欲が湧かないので、朝食は食べずに身支度をします。
そして頭はボーっとして働かないので、コーヒーを飲んでタバコに火を付けます。
この瞬間が大好きです。
カフェインとニコチンでアドレナリンを出すと、やっと血糖値が上がって頭と身体が動くようになります。
ただしアドレナリンにより交感神経優位になり、唾液が止まるので、歯磨きをしてもすぐに口臭がするようになります。
コーヒーとタバコの匂いも重なり、酷い口臭がします。
昼夜編はまた別の機会に書きましょう。
この状態を治してくれる薬は無い
この朝の状態を見て、羨ましいと思う人はいないでしょう。
誰がどう見ても、本人の生活の質は低下しています。
しかしどこの病院に行っても、ストレスと食生活に気をつけるように言われて、抗アレルギー薬を出されるだけです。
コルチゾールの分泌レベルが低下していることに気がついてもらえません。
そこで身体の仕組みを理解して、自分の状態を改善させていく必要があります。
では、副腎疲労から回復するにはどうしたら良いのでしょうか?
テンプレ治療法に意味は無い
自分の状態を調べていくうちに、副腎疲労という言葉に辿り着きます。
そしてGoogleで副腎疲労と検索をします。
するとデタラメな内容が書かれたクリニックホームページが、いくつも出てきます。
しかし、あなたはまだ副腎疲労の仕組みを知らないので、間違った情報を全て鵜呑みにしてしまいます。
そしてクリニックを受診すれば今の状態から回復すると信じて足を運びます。
しかしそこでは栄養学的に誤った食事指導と、毎月何万円もするドクターズサプリの処方が行われます。
診断も高額な検査も全て自費なので、毎月何万円もかかり続けます。
クリニックでの指導内容
クリニックで指導されたのは次の通りです。
食事指導:
- グルテンとカゼインは副腎疲労を悪化させます。乳製品と小麦製品は避けてください。
- 砂糖は危険。調味料に入ってるわずかな量でも避けてください。
- 果糖とブドウ糖で構成されている、果糖ブドウ糖液糖は避けてください。
- でも果糖とブドウ糖が主成分のファスティングドリンクは飲みましょう。
- そして果糖とブドウ糖が主成分の高品質なはちみつを舐めましょう。
- 白米は血糖値を上げやすいので、胚芽米か玄米を食べてください。
- 朝昼夜の食事の他に、補食を行ってください。
- 干しいも、甘栗、小さなおにぎりが補食として適しています。
- 葛粉ドリンクを頻繁に飲むことも有効です。
- ボーンブロススープを飲みましょう。
- 『まごはやさしい』の食材を食べてください。
- 添加物は避けてください。
- 大型魚は水銀が多いため避けます。
サプリ:
- ビタミンC
- ビタミンB群
- ビタミンD
- プロバイオティクス
- 液体マグネシウム
- 副腎エキス
- フィッシュオイル
- 亜麻仁オイル
- グルタミン
- 消化酵素
高額な検査をした割には、指導内容はテンプレで、何のための検査だったか、わかりません。
聞いても真摯に答えてもらえず、言われた通りにするように言われるだけです。
大金を支払って言われた通りにしたのに、全然良くならなくて困り果てます。
テンプレで治らない理由
副腎疲労症候群は特定の原因で起きる症状ではありません。
ハンス・セリエの研究について、以下の説明をしました。
2.多様なストレッサー(寒冷・手術・薬物など)に対して身体は同じ反応をする
ポイントはこれです。
ストレッサーを見つけないことには、どんな栄養療法も無駄なのです。
しかし、大抵のクリニックではストレッサーの発見までは面倒を見てくれません。
だから自分でストレッサーを探す必要がなります。
でも今の知識のままでは原因に辿り着くことができない人がほとんどです。
いくつか例を挙げます。
原因に辿り着かない理由
パターン1
銀歯 私の彼女はアマルガムという素材の銀歯を外したところ、体調が良くなりました。
しかしアマルガムで体調が悪くなるという情報に辿り着くまで、さまざまな病院や治療院などに通い泣いたこともあったそうです。
普通の病院に行っても教えてもらえないし、分子栄養学のクリニックでも見過ごされることがあるかもしれません。
パターン2
エアコン カビ毒が身体の炎症を起こし、コルチゾールを消費してしまうので、副腎疲労を悪化させるという情報は知っていたとします。
そこでクリニックやカウンセリングでエアコンの掃除をしたか聞かれたところ、「もちろんしました!」と答えます。
しかし格安業者に依頼したため、表面の分解清掃しかしてもらえず、シロッコファンの裏側はカビだらけでした。
しかも洗浄の水でカビが繁殖して、以前よりカビ毒を吸い込みやすくなっています。
こうして自分では掃除できているつもりが、カビを吸い込み続けて炎症が止まりませんでした。
パターン3
自己評価 幼少期から親に
- 「どうせお前なんか」
- 「無理に決まってる」
- 「バカなんだから高望みするな」
と言われてきたとしましょう。
この人は自己評価が低く、他人から搾取されやすくなります。
ブラック企業に務めても、それが当然だと思うし、恋人ができればDVされても自分が悪いからだと思います。
当然ストレスMAXな状況なので、コルチゾールの消費が続きます。
終わりに
さて、これらのさまざまな原因を抱えている人たちが、グルテンフリー、まごはやさしい、ドクターズサプリといったテンプレ治療法で副腎疲労から回復できるでしょうか?
当然回復しません。
だから、SNSには分子栄養学のクリニックの悪評が溢れています。
私のサロンの会員様はそれに気がついているので、クリニックは自分がしたい検査を行ったり、自分が決めた治療方針に必要な医薬品を手に入れるための場所と割り切っています。
間違えても「治してもらおう」なんて考えは持っていません。
さまざまな角度から自分のストレッサーを発見できるようになり、適切な環境と栄養摂取で回復を早めるのが、副腎疲労から回復する方法です。
そのためには勉強が必要です。
ストレッサーに気がつくための情報を得るための勉強です。
それができて、始めて栄養療法の効果が現れます。
これは単に知っているとい状態ではなく、自分で推測して考える必要があります。
だから治る答えを教えて欲しいという人は回復が遅くなります。
私がいつもサロンで「依存的な人はダメ。自立した栄養療法をするように」と言っているのはそういった理由です。
考えることを丸投げした人は冷たくあしらいますが、推測して検証して行き詰まってアドバイスを得ようとした人には、とことんお付き合いしています。
自分の身体を最適な状態にする方法を言語化できるようになるまで、訓練を積み重ねましょう。