栄養判断力のテストです。
どんなに適切な情報が手元にあっても、それが妥当かどうか判断する力が無いと無意味です。
適切な情報の価値がわからず、不適切な情報を信じてしまうかもしれません。
そうならないように、実戦形式のテストをしてみましょう。
糖質制限によりマウスの寿命が短くなる
東北大学大学院農学研究科・都築毅准教授の発表による発表。
マウスに炭水化物を減らした食事を長期間続けると、老化が早く進み、寿命も短くなるそうです。
詳しくご覧になりたい方はこちら▼
マウスに必要なPFCのバランスはヒトとは異なる
一方、一般社団法人日本糖質制限医療普及推進協会代表理事の江部康二氏は、こう反論します。
以下、御本人のブログより引用
まず、東北大学大学院・農学研究科のグループ は根本的な間違いを犯しています。
そもそもマウスの食事実験の結果はヒトには当てはまらない。
という基本的なことをご存じないようです。
どんな研究でも手軽なので、マウスやラットが実験動物として使われやすいです。
しかし、マウスやラットで糖質制限食(高蛋白・高脂肪食)の実験をすること自体が、根本的な間違いです。
なぜなら、マウスやラットなどネズミ類は、本来の主食は草の種子(即ち今の穀物)です。
ネズミの主食はあくまでも「穀物=低脂質・低蛋白食」なのです。
~中略~
この東北大学の実験は、わかりやすく言うとゴリラにステーキを食べさせるというイメージです。
引用:http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4508.html
江部氏のブログ▼
あなたはどちらの説を信じますか?
- 糖質制限をするとマウスの寿命が縮まる(都筑先生説)
- マウスとヒトとでは求める三大栄養素のバランスが異なる。マウスは本来低脂質・低たんぱく食を求めるので、糖質を制限してしまったら寿命が短くなるのは当然。(江部先生説)
あなたはどちらを信じますか?
この時点で判断をしようとした、あなた。
それは判断を見誤る、NG行動です。
まず、こういった判断をするには前提知識や情報収集が必要です。
私が最初に気になったのは、江部氏の三大栄養素のバランスの需要が、生物間で異なるという主張です。
肉食・草食・雑食の生物がいるので、マウスとヒトとでは、最適な三大栄養素のバランスが異なるということもあるかもしれません。
情報の検証をする方法
そこで、実験動物用の飼料のPFCバランスを調べてみました。
日本クレア株式会社の、CA-1というマウス・ラット・ハムスター用の飼料のPFCバランスはこちらです。
たんぱく質約33.72%、脂質約6.64%、炭水化物約59.63%
ヒトの最適なPFCバランスと、それほど変わらないことがわかります。
ヒトの場合、カロリー全体に対する炭水化物の割合が50~55%の間で最も長い平均余命だとされているので、それよりも少し炭水化物の割合が多い程度です。
この飼料だけだと計算に偏りがあるかもしれないので、同社のCR-2の割合も計算しました。
タンパク質約31.45%、脂質約5.99%、炭水化物約62.56%となり、先程とあまり変わりません。
前提知識が増えれば、より妥当な結論が導き出される
この飼料のPFCバランスを見ると、マウスは本来低脂質・低たんぱく食を求めるという江部氏の主張には無理があることがわかります。
これが情報の検証です。
先程の①と②の主張から、自分の直感だけで判断を下そうとする人は危ないです。
判断を誤る可能性が高いです。
一方、一般的なマウスの飼料のPFCバランスを調べるという手間をかければ、より妥当な判断をするための前提知識が得られます。
栄養の情報は、このように精度の高い判断を積み重ねていくことで、より妥当な選択をできるようになるのです。
SNSを眺めていると、大半の人が前提知識となる情報が少ない上に、調べようともせず、現在の自身の拙い知識だけで判断を下して失敗しているように見えます。
健康は人生の質に大きく関わる要素です。
ただの娯楽や趣味ではありません。
誰の身体にも付いて回る、避けようのない現実です。
それに対して調べる習慣が無いまま、誤った選択をし続けるというのは、自殺行為に等しいと思います。
誰一人例外なく、1つ1つの情報を調べるようにすべきです。
それができて始めて妥当な選択ができるようになるのです。
私の妻は言葉の少しの違和感に敏感に気が付きます。
私も彼女ほどではないですが、それなりに気がつく方だと思います。
だから違和感の正体を調べるために、情報収集を行います。
そうして他の人よりも妥当な選択を出来るようになるのです。
今回ご紹介した医師のビタミンCへの見解も合わせてご紹介します▼
情報を検証するための訓練ができますので、合わせてご覧ください。