今から間違った栄養の情報を紹介します。
これは糖質制限極右的思考のある医師が、実際にHP上で公開しているものです。
読んでみて騙されないかチェックしてください。
すぐに違和感を覚えられたら、栄養の思考のセンスが抜群です。
滅多なことでは騙されないでしょう。
騙されないかチェック
(※読みやすくするために、元のブログから大筋は変えずに原文を改変しています。)
マサイ族はビタミンCの摂取量が少ないのに、壊血病が発生しない。
アフリカのマサイ族の主たる食事は牛乳、ヨーグルト、牛の生き血である。
これらの食事にはビタミンCが極端に少ない。
しかしマサイ族に壊血病が発生しない。
ビタミンCはコラーゲンの合成に必要で、不足すると全身のコラーゲンが欠損して歯茎からの出血、古傷が開く、内出血、進行すると生命に影響が出る。
牛乳、ヨーグルト、牛の生き血から得られる日々のビタミンC摂取量は、30mg程度と推測される。
厚生労働省の推奨量は1日100mgである。
100mgには到底足りないマサイ族に壊血病が発生しないのは何故でしょう?
理由については、さらなる研究が必要としています。
ドクター江部の糖尿病徒然日記マサイ族とビタミンC。 こんばんは。アフリカのマサイ族はビタミンC摂取量は極めて少なく、血中濃度は壊血病レベルの低値ですが、とても健康です。ビタミンCには、抗酸化作用などがあります。マサ...
普段から私の投稿を読んでる人か、真面目に勉強した管理栄養士であれば当然わかりますよね?
日本人の食事摂取基準2020年版の、成人男女のビタミンCの推奨量は、100mgです。
では、この100mgはどのように決まったのでしょうか?
ビタミンCの推奨量の決め方
まず、推定平均必要量という概念を知る必要があります。
推定平均必要量とは、簡単に言うと日本人の半分で特定の栄養素の不足が起きない量です。
ビタミンCの推定平均必要量は、心臓血管系の疾病予防効果や有効な抗酸化作用を期待できる血中濃度にするための量として、成人男女で85mgとされています。
実際は83.4mg/日ですが、四捨五入して実務に取り入れやすくしています。(丸め処理)
ここに推奨量算定係数というものを掛けて、半分の人に欠乏が起きない数値から、97~98%の人に不足が起きない数値にしたのが推奨量です。
85に推奨量算定係数1.2を掛けて、102となります。
(85×1.2=102) これも四捨五入して100mgとなります。
これがビタミンCの推奨量の決め方です。
心臓血管系の疾病予防効果や有効な抗酸化作用を期待できる血中濃度が算定の根拠であり、壊血病予防の量ではありませんでしたね。
ビタミンCの壊血病予防の量
では、壊血病予防の量はどれくらいでしょうか?
これも日本人の食事摂取基準に記載があります。
以下原文 「ビタミン Cを1日当たり 10mg程度摂取していれば欠乏症(壊血病)は発症しない 」
根拠となる論文には、10mgよりわずかに少ない量で壊血病を予防できると記載があります。(男性6人のボランティアでの研究)
つまり、マサイ族は30mgのビタミンCが摂取できていれば壊血病を発症しない確率が高いのです。
おそらく先のブログを書いた医師は、食事摂取基準においてビタミンCの推奨量が100mgということは知っていたのでしょう。
しかし食事摂取基準の原文を読んだことがなく、100mgが壊血病を予防するだと思っているのです。
食事摂取基準のビタミンCの項目は、たかだか4,535文字です。
その程度の確認もしないで持論を展開している人が、栄養の情報の配信者として影響力を持っているのです。
これはビタミンCについての誤りであり、全ての情報が誤っているということは無いという反論もあるかもしれません。
しかしプロであるなら、現段階で確認できる最善を尽くして確認作業を行いながら情報配信をするべきではないでしょうか?
1つのテーマを雑に扱う人は、他のテーマについても同じようなスタンスで配信していると推測します。
配信者が誤ったことを伝えたら、信じた人の命に関わるのが栄養の情報提供です。
だから検証が必要です
あなたが情報を取得して健康になりたいと思っている人なら、どんなに影響力のある人でも、このような間違いを犯すことを知っておいてください。
だから検証することで自分を守る必要があるのです。
嘘情報を読んで「なるほど。勉強になりました」とか書いてんじゃないよ!
信じる前に確認しなさい!
あなたが栄養の情報を配信する人なら、キャッチーな噂話の拡散や、思いついたままの持論の展開ではなく、情報を見てくれる人の命を守るためと思って1つ1つの情報を確認しながら配信してください。
その覚悟がある人にだけ、栄養と健康の情報配信をして頂きたいと切実に思っています。