ビタミンCって摂り過ぎても、オシッコで出ちゃうだけでしょ?
学校でそう習った管理栄養士も多いと思います。
日本人の食事摂取基準という、厚生労働省の発表によると、ビタミンCの推定平均必要量は成人男女で約85㎎ 推奨量は100㎎とされています。
推定平均必要量とは、半数の人が摂取不足により健康障害が生じるリスクが無くなる量とされています。
推奨量とは、ほとんどの者(97~98%)が充足している量とされています。
1日に85㎎摂れば、半数の人に欠乏症は起きず、100㎎摂ればほとんどの人に欠乏症が起きないと考えられています。
まず、分子栄養学を学ぶ人には、この定義を知って頂きたいです。
ビタミンCの食事摂取基準
分子の配信をしている人は、「厚生労働省は100㎎と言っているが、それでは全然足りない」ということを言うことが多いです。
しかし、100㎎がどういった意味を持つ量として決定されているかまでは理解していないことがほとんどです。
下の表は日本人の食事摂取基準のビタミンCの項目です。
欠乏症である壊血病を予防するに足る最少量からではなく、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用の観点から算出と書いてあります。
分子栄養学しか学んでいない人は 「厚生労働省の推奨量の100㎎というのは、欠乏症の回避を目的としたもので、本当はもっと必要なのだ!」 と言う場合が多いです。
これは間違いです。
では、厚生労働省の摂取基準で本当に充足するのでしょうか?
壊血病と診断される状態の回避、心臓血管系の疾病予防効果及び抗酸化作用という観点から言えば、1日100㎎の摂取で97~98%の人は充足されると思われます。
しかし、ビタミンCの効果は壊血病予防、心臓血管系の疾病、抗酸化以外にもあります。
例えば、感染症などの特殊な状況では膨大に需要が増すと考えられます。
本文を見るには24.95米$しますが、購入しました。
実験を行った際の条件などが勉強になるので、栄養指導のプロの方は購入することをオススメします。
https://www.jmptonline.org/article/S0161-4754(99)70005-9/fulltext
ビタミンCに対して栄養学の知識しかない人への反証
まず、このブログのタイトルにある、ビタミンCは飲み過ぎても尿として排泄されるので意味が無いという、栄養学の知識しか無い人への反証をします。
先程の論文のデータによると、5000㎎の13.7時間かけて徐々に溶けるビタミンCを、摂取したところ、24時間での排泄は7.7%ということです。
つまり、5,000㎎中、尿には385㎎しか排泄しておらず、4,615㎎は体内に残っているということです。
- 研究の信憑性に疑問がある
- 体内に残存した4,615㎎に意味はなく、出ていくのを待つだけである
という反論があるかもしれませんが、ここから先はご自分で調べて頂ければと思います。
次に、感染症などの特殊な状況であれば、需要が増していることが考えられるという部分についてです。
論文によると、 平常時から1日1,000㎎のビタミンCを3回 インフルエンザまたは風邪が発症してから、最初の6時間は1,000㎎のビタミンCを1時間毎に その後は1日3回1,000㎎の投与をしたとのことです。
すると、ビタミンCを摂取していないグループと比べて症状が85%減少したとあります。
ビタミンCは免疫に関わるので、感染症のときに需要が高まり、大量のビタミンCを摂取したことにより、抵抗力が向上したことが考えられます。
では、風邪などの特別な状況のときにだけビタミンCを大量に摂取すれば良いのでしょうか?
ビタミンCはコルチゾール産生にも関わります。
コルチゾールは抗炎症と、血糖値上昇の役割があるホルモンです。
ストレス時には血糖値を上げて臨戦態勢になるため、コルチゾールの分泌が増えます。
ストレスを感じただけで、ビタミンCの需要が増えるということです。
ストレスというのは、精神的なものだけではありません。
- 過度な活動による肉体的ストレス
- 外部から余計なものを摂取したときの科学的ストレス
- 騒音・温熱環境などによる環境的ストレスなど
外部からの刺激全てがストレスです。
現代人で過剰なストレスに晒されないで済む恵まれた人が、どれだけ居るでしょうか?
ストレスに晒されているときに、対応せずに心身の性能を低下させ続けるか、対応して乗り越えて、安全な状況を手に入れるか。
それはビタミンCという栄養素をどう捉えるかにかかってくると言っても過言ではありません。
まとめ
分子栄養学だけ学んでも厚生労働省の研究データの意味が理解できません。
栄養学だけ学んでも、「オシッコで出るから意味がない」という結論に居たり、心身の性能を十分に発揮できません。
何gが正解なの?という安易な発想にならず、ビタミンCについて勉強することで、自分なりの答えを見つけてください。
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