分子栄養学で仕組みが誤解されている出汁と葛粉の補食について、完全解説します。
まず、この方法をする必要はありません。
しかし有名な方法なので、行わない理由を知っておきましょう。
仕組みが理解できれば納得できるはずです。
補食の嘘とは
だし&栄養スープについて
おそらく出汁で補食するという方法は、美味しくオシャレであるという意味で開発されており、栄養成分の優位性から取り入れられたものではありません。
しかし、この方法を提唱した人の意図から離れ「独自解釈」してしまった一部の分子栄養学の関係者が、出汁自体に健康効果があると思いこんでしまったのが現状です。
だし&栄養スープのたんぱく質1gあたりの価格は、62.31円となります。
計算に用いたデータは、製造メーカーから頂いた、こちらの資料を元にしました。
だし&栄養スープのパウダーの使用量にもよりますが、常識的な使用量では、期待するほどのたんぱく質は摂取できません。
私の味覚だと、茶碗1杯につき、0.5gほどで美味しく感じます。
しかし、それ以上入れると出汁の味が濃すぎて不快に感じます。
一部の分子栄養学の関係者は、1Lあたり、大さじ5~6杯を推奨しています。
私はこの濃度だと気持ち悪くて飲めません。
これを1Lに5~6杯も入れたら、相当出汁の味が濃く感じられるはずです。
味覚が正常であれば、耐えられない味の濃さになると思います。
だし&栄養スープを勧める人は、美味しく感じる量よりも大量に消費させると「何らかのメリットがあるのではないか」と邪推してしまいます。
味付けに使う調味料にあたかも健康効果があるような錯覚をさせるのは、薬機法にも抵触する可能性があります。
出汁は美味しくするためのものであり、たんぱく質の摂取の目的には使えません。
もし効率よくたんぱく質の摂取がしたければ、ペプチドになっているコラーゲンや、ドクターズサプリの品質の、平均分子量が400Da程度のプロテインを使用すべきです。
これらを用いれば、どんなに弱っている人でも、身体に負担をかけずに、たんぱく質の摂取ができます。
ある分子栄養学の講座では、たんぱく質の摂取源として出汁ではなく、煮干し粉を推奨しています。
煮干し粉であれば、常識的な使用料で相当な量のたんぱく質が摂取できます。
煮干し粉の摂取を提唱している先生も、煮干し粉と出汁の区別が付いていないことに対して、苦言を呈しています。
葛粉について
おそらく、こちらに関してもおしゃれで喉越しが良いという理由で、出汁の補食の方法の提唱者は葛粉を用いています。
しかし、葛粉は高額です。
低血糖の補食は、糖質の量として100~150g/日程度使うこともあるのですが、葛粉は786円あたりの糖質が68.48gです。
毎日補食の糖質の摂取源に1,000円程度かける計算になります。
30日だと、葛粉だけで30,000円です。
どんなブルジョアが行う方法でしょうか?
実際は、100~150g/日も飲もうとすると、ドロドロして気持ち悪くなります。
したがって、低血糖を改善させるために、必要な量を飲むことができません。
一部の分子栄養学の関係者は、葛粉にこだわる点も間違っています。
じゃがいもや、米粉のデンプンでは駄目で、葛粉ではないと駄目と言っている人がいます。
薬膳とか、中医の概念で、葛は身体を温めるとされている事を根拠としているようですが、葛を使うのは、糖質の摂取源として用いるためであって、薬膳的な健康効果を狙ったものではありません。
もし出汁の補食をするなら、じゃがいもや米粉のデンプンで十分です。
このように、開発者の意図しない形で出汁の補食が広まってしまっていることを、残念に思います。
そして、出汁で補食を行う方法は、もう古いです。
私の著書の『補食の理論と実践』でも出汁の補食について軽く触れていますが、相当扱いが少ないです。
- 必要な量の糖質を摂取できない
- 味と喉越しが、1日中飲むのに向いていない
- 実践するのに高額過ぎる
などの理由から、「古い」という表現を使いました。
まとめ
私は今、あなたに無料でこの情報を提供しました。
だからこれから先、補食に関して誰かに変な方法を吹き込まれても、騙されないでください。
補食の仕組みについて理解していないのに、低血糖の専門家を自称して問題のある方法を広めてしまっている人がいます。
そのような人の言う事を聞いて、無駄でお金がかかって辛いだけの方法を実践して、嫌な思いをしないでください。
これだけ情報提供しているのに、まだ間違う人がいてとても胸が苦しいです。