ときどきプロテインは液体だから消化に悪いという話を聞きます。
なぜ「プロテイン」と一括りにするのでしょうか?
- WPC、WPI、WPHの内のどれの話ですか?
- どれくらいの量を想定していますか?
400Daで5gでも消化に悪いというなら、普段の食事がほとんど吸収できていないはずです。
解説→ コスパとアミノ酸組成の点から、一般的に使わえるのはホエイというプロテインです。
まずはホエイとカゼインの性質についてお話します。
ホエイとカゼインの性質
ホエイは牛乳のたんぱく質の内、約2割を占めます。
残りの約8割はカゼイというたんぱく質です。
ホエイはカゼイに比べて分子量が小さく、消化に負担がかかりにくい性質があります。
一方、カゼイは分子量が大きく、消化に負担がかかる代わりに、吸収が遅いので、長時間に渡って血中のアミノ酸濃度を維持することができます。
リーキーガットの原因とされ、分子栄養学で嫌われ者のカゼインですが、絶対に避けた方がよい物質ではありません。
消化力が正常な人が、仕事などで長時間食事が摂れないなどの事情があれば、カゼインは良い選択となります。
ホエイの種類
ホエイには加工の方法により、大きく分けて3つの種類があります。
WPC(ホエイプロテインコンセントレート)
- たんぱく質の割合が総重量の約70-85%
- 乳糖を除去していない
- 比較的安価で味が良い WPI (ホエイプロテインアイソレート)
- WPCを特殊なフィルターにかけたもの
- たんぱく質の割合が総重量の約90%以上
- 乳糖が少ない ・牛乳でお腹がゴロゴロする人でも飲める可能性がある
- 比較的高額 WPH (ホエイプロテインハイドロリゼート)
- WPCを酵素で分解して消化しやすくしたもの
- 多くの製品はWPCと同じでたんぱく質70~85%
- たんぱく質が分解された過程でペプチドになり、独特の苦味がある
- 消化力が弱い人でも、胃もたれせずに吸収しやすい
WPC・WPI・WPHのまとめ
- WPCを一度買ってみて、問題が無いなら、WPCを続ける
- お腹がゴロゴロするならWPIを試してみる
- 胃もたれや便が臭い、黒からこげ茶になるという場合は、WPHを試す
プロテインの摂取量
たんぱく質の摂取量は、体重1kgあたり1gが目安とされています。
低血糖を起こしていて、体の組織の分解が起きやすい人なら、たんぱく質の需要が高まっている可能性があるので、更に必要な場合もあります。
しかし、低血糖を起こしやすい人は総じて消化力が低下しているので、プロテインの種類と量を慎重に考える必要があります。
だから、それぞれの量を2~3g程度から開始して様子を見ます。
3g×3回/日であっても、塵も積もれば山となります。
30日なら、9g/日×30日=270g/月となるので、大きな違いになります。
摂取量の間違い
プロテインは運動をしており、日本人の食事摂取基準の目安である、体重1kgあたり1g以上のたんぱく質を摂取したい人向けに、パッケージの説明がされている場合が多いです。
パッケージに記載されている1回の使用料の目安は20~25gと多く、体が弱っている人には向きません。
それなのに「20gは多過ぎるから10gにしています。でも消化不良になるのでプロテインは飲みません」という人が非常に多いです。
なぜ10gも飲むのでしょうか? さきほど紹介したとおり、1回3gでも積み重ねれば、相当な量になります。
小さじに少し多く盛ったのが3gです。
この量なら問題無く飲めるのではないでしょうか?
種類の間違い
乳糖不耐が無く、特にWPIを選ぶ必要はない。
でも消化力が弱っている。
そういう人が選ぶのはWPHです。
しかし、一般的に出回っているプロテインの大半がWPCのため、WPCを選んでいる人が多いです。
なぜ消化力が正常な人を想定した種類のプロテインを飲んで、自分には合わないと決めつけるのでしょうか?
WPHの罠
WPCを酵素で分解したのがWPHです。
しかし酵素で分解する程度は、製品によって異なります。
酵素であまり分解していなければ、WPCと変わりません。
一方、完全に分解してしまうと、アミノ酸になってしまいます。
アミノ酸なら消化に良いと思っているなら間違いです。
たんぱく質の消化と吸収
たんぱく質の消化は以下の流れで進みます。 (●はアミノ酸の数)
たんぱく質(●●●●●…数百から数千個)
↓
ペプチド(●●●…2から50個程度)
↓
アミノ酸(●…1個)
アミノ酸まで分解しないと吸収できないと思っている人もいるかもしれませんが、実はアミノ酸の吸収の割合は全体の1/3程度と言われています。
残りの2/3は、アミノ酸が2~3個繋がったペプチドだとされています。
アミノ酸が4個以上結合したペプチドだと吸収ができません。
つまり、ヒトが吸収できるのは、以下の3つです。
- アミノ酸1個のアミノ酸
- アミノ酸が2個結合した、ジペプチド
- アミノ酸が3個結合した、トリペプチド
ようするに、全体の2/3は、ジペプチドと、トリペプチドとして吸収されるのです。
最も消化に良いプロテインは
ジペプチドとトリペプチドが大半のプロテインが、最も消化に良いと考えられます。
アミノ酸の大きさは分子量という単位で示されており、分子量の単位はg/mol(グラム/モル)です。
アミノ酸の種類によって大きさが異なるのですが、必須アミノ酸の中で最も大きいものと、小さいものは以下の通りです。
- トリプトファン 分子量: 約 204.23 g/mol
- バリン 分子量: 約 117.15 g/mol
つまり、最も大きいトリペプチドがあるとしたら、トリプトファンが3つ結合して、平均分子量が600Da(ダルトン)となります。
最も小さいのはバリンのジペプチドで、200Da程度となります。
200と600の間を取って、400Daの程度ペプチドが、最も吸収が良いとされています。
g/molとDaは同じ量を示す単位で、文脈や目的によって使い分けられます。
平均分子量を示すときは、一般的にDa(ダルトン)が用いられます。
更にこだわると
アミノ酸の種類のバランスを取り、体内で使われやすいように、特定のアミノ酸を添加してあるものもあります。
高品質なドクターズサプリは、全く胃もたれせずに大量に摂取できるように設計されている物もあり、一般的に出回っているWPHとは一線を画します。
たんぱく質1gあたりの単価だけでは、評価できない品質を持つ製品もあるということです。
弱っている人は、回復するまで一時的に、そうした製品を使うのも1つの手だと思います。
飲んでも未消化で悪玉菌の餌になってしまう安いプロテインを飲むなら、最初は確実に吸収される高級品を選んだ方が良い人もいると思います。
まとめ:消化力が弱っているならこれを飲む
- WPH(ホエイプロテインハイドロリゼート)を選ぶ
- 400Daの表示があるか、消化の体感が良いものを選ぶ
- 1回に2~3gを空腹時に
- それでもダメならドクターズサプリのプロテイン
- ただしドクターズサプリの中でも品質に雲泥の差がある
通常の食事だけでは、たんぱく質が不足する場合は、上手にプロテインを使いましょう♪
更にたんぱく質とアミノ酸について詳しくなりたいなら、こちらのセミナーがお勧めです。
プロテインだけではなく、実際に使えるアイテムと、それを使う理由が明確になります。
消化力が弱いなら、絶対に知っておきたい知識です。