日本アレルギー学会のIgG検査に対する否定的な見解について反証します。
まずは添付画像をご覧ください。
その中から主要な主張である、①~④のそれぞれについて、論理的に破綻している部分を指摘します。
標準治療でIgG抗体検査が否定されているという理由で、検査を受けることを躊躇して、不調を放置することは損失です。
立派な団体や偉い医師が言っているから真実だと盲信するのではなく、自分で判断できるようになりましょう。
この反証が、その一助となれば幸いです。
①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である
→ここで言う「食物アレルギー」とは、IgE抗体の数値が高くなることや、それに伴い、即時型のアレルギー症状が生じることを言っているのだと思われます。
IgE=IgGではないので、この説明の論理は破綻しています。
更に、IgGで高い数値の食品を摂取してから、数日から1週間後に頭痛、メンタル症状、関節痛、胃腸症状などが現れる場合があるが、その状態を「健常な人」と表現しているようです。
単に診断のガイドラインが制定されていないというだけで、症状が出ている人を「健常な人」と表現しているのは、標準治療の怠慢ではないでしょうか?
②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない
「負荷試験」という言葉の定義にも触れておきたい。
負荷試験とは、スコアが高い食品を摂取して、1日かけて、症状が現れるかどうか確認するという手法で行われます。
遅延型の食物アレルギーは数日から1週間後に症状が現れることがあるので、1日間の負荷試験で確認ができないのは当然です。
また、IgGのスコアが高い食品を摂取した後、30分~1時間ほどで、脈拍が早くなり、血圧が高くなる場合があります。
これは炎症に対するコルチゾールの分泌により起きると考えられます。
コルチゾールは汎適応症候群の疲憊期では分泌されにくくなるのがわかっています。
このため、疲憊期の人がIgGのスコアの高い食品を食べても、炎症はするが、脈拍や血圧の数値に影響を及ぼさないことがあります。
このため、汎適応症候群の概念を理解していない医師や研究者が負荷試験を行うと、適切な結果が得られません。
よって、負荷試験そのものの、検査技法を見直す必要があります。
IgEの検査技法を、そのままIgGで用いても、妥当な結果は得られません。
③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである
→食べたことがない食品でも高い数値が出る場合があるので、この主張は誤りです。
更に、特定の食品の摂取量と、IgGのスコアの相関関係が見られたという報告は、私の知る限り存在しません。
IgGの抗体のレベルが、特定の食物の摂取量と相関しているというデータを提示しないと、この主張は誤りとなります。
④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある
→除去食で栄養バランスが崩れやすくなるのは考慮すべき問題です。
しかし一時的に除去を行わないと、慢性炎症による各種症状が改善しない場合もあります。
IgGの数値や品目の数と種類、実際の食生活に落とし込む上での難易度など、さまざまな側面から総合的に対応を考えていく必要があります。
いかがでしたでしょうか?
日本アレルギー学会の発表だからと、盲信してしまっていた人は、考えるきっかけになったと思います。
エビデンス(証拠)の蓄積が無い、または少ないという理由で、効果的な治療法に意味が無いという主張がされる場合があります。
しかし、『わからない=意味がない』ではありません。
実際に不調が生じているのに、標準治療で診てもらえないという社会の不具合が生じているのです。
そして、それに該当する人は、怠け癖や精神病として取り扱われることが多いのが現状です。
論理的に理解をしようと心がければ、今までとは違う視点が持てるようになるはずです。
医師は自分が勉強してきた内容が人体の全てではないと理解するべきであり、更に医療リソースに限りがあるのでエビデンスが蓄積されていない分野もあるのを自覚するべきです。
不調を持つ当事者の方は、そうした医師の背景も知った上で、最善の治療を行えるようにして頂きたいです。
IgG検査は、各種不調から副腎疲労の改善まで、幅広く利用できる有益な検査です。
標準治療でサジを投げられている人は、是非受けて頂きたいと思います。