「分子栄養学と東洋医学は似ている」という意見を目にすることがあります。
身体を部位ごとではなく、全体を見るという面ではその通りです。
しかし、東洋医学は仕組みの理解が曖昧です。
それに対して、分子栄養学は機序が明確でなければ良い結果が得られません。
効く仕組みがわからない漢方薬や、鍼治療がそれに当たります。
しかし分子栄養学では、栄養素が身体に与える機能を分子レベルで解明しようとします。
身体で起きていることの予想が的外れだと、結果が得られません。
東洋医学に比べて、圧倒的に知見の積み重ねが足りないのが分子栄養学です。
仕組みはよくわからないが、圧倒的な経験則の積み重ねで妥当性をカバーしているのが東洋医学です。
それに対して予想が妥当であればすぐに目覚ましい結果が得られる可能性があるが、そうでなければ害にもなり得るのが分子栄養学です。
注意しなくてはならないのが、両者は情報の組み立て方が全く異なるという点です。
東洋医学の仕組みはわからないが、経験則の積み重ねでカバーするという思考の枠組みは分子栄養学に合いません。
この考え方で分子栄養学を取り入れてしまうと、データの蓄積の無い、的外れな予想で体調を改善させる試みとなってしまいます。
分子栄養学に必要なのは、生化学、生理学などの基本的な知識や、これまでの症例から妥当な推論を導くことです。
分子栄養学と東洋医学は情報の組み立て方が全く異なるので、それぞれの思考の枠組みを別に考えないと、それぞれが失敗しやすいのです。
私も鍼治療をしますし、今朝も抑肝散を飲んでます。
このように便利だから理屈がわからなくても使う」という発想も時には良いと思います。
しかし問題解決のための思考をそればかりにすると、分子栄養学で体調を改善させる際の妨げになる可能性があります。
分子栄養学は効く仕組みが明確でないとならないし、一見筋が通っていても見落としがある予想だと結果が得られないのです。
東洋医学のような膨大な積み重ねの代わりに、科学の知見と論理的な思考で妥当な推論を導くのが分子栄養学です。
ただし、両者は情報の組み立て方は異なるのですが、
最終的に同じ見解にたどり着くことはあると思います。
アプローチ方法が違うだけで、体調を改善させるというゴールは一緒なので、最終的には同じ見解になるはずなのです。
現段階でそうなっていないということは、東洋医学も分子栄養学も発展途上ということかもしれません。
困難な不調に立ち向かう際に明確な答えが得られないと不安になることもあると思います。
しかし発展途上だからこそ、改善する可能性が残されているという希望にもなります。
その探求の際のアプローチの1つとして、分子栄養学を取り入れて頂けたらと思います。