断食(ファスティング)をする人の中には、ダイエット目的で行う人もいます。
もし今から痩せたくて断食を検討している人がいたら、きっとガッカリするはずなので、ここから先は読まないでください。
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先に答えだけ言います。
正しい方法で行った断食は痩せやすくはなりますが、少ししか痩せません。
どういうことか解説します。
断食指導者の嘘?無知?
断食指導者の中には、断食◯回目で、こんな身体になりましたと宣伝する人がいます。
これを見た人は、◯回断食にチャレンジしたら同じようになれると期待して申し込むはずです。
大体の指導者の5日間の断食の費用が5万円ほどなので、5万円×5回で25万円です。
断食は毎月は行えないので、人にもよりますがだいたい1年かかります。
1年間に5回の断食と25万円の費用をかけたとしたら、結果を期待するのが当然です。
しかし、誰でも思うように結果が出ないのが現実です。
断食で痩せるカラクリ
断食は準備食2日、本断食5日、回復食5日程度で行います。
準備食と回復食でも食事を制限するので、本断食と合わせると、だいたい18,000kcal程度のアンダーカロリーになります。
活動代謝を2,000kcal、準備食平均1,500、本断食平均400、回復食平均1,000kcalとした計算です。
体重を1kg落とすのに必要なのが、およそ7,200kcalとされています。
18,000÷7,200=2.5なので、断食1回でおよそ2.5kg痩せる計算になります。
これは実際に断食を経験された人と、だいたい同じ結果です。
更に肝臓のグリコーゲンと、グリコーゲンが含む結合水の重量で、男性であれば2kgくらい痩せることになります。
断食で落とせる体重の平均が女性3kg、男性5kgと言われているのは、こうした理由です。
脂肪の減少‐2.5kg、水分の減少1~2kg。
これが断食で減った体重の正体です。
断食期間以外の行動
基本的に断食指導というのは、断食の期間のみ行います。
断食が終了した後の具体的な食生活を、数値で指導されることはほとんど無いはずです。
「なるべく無添加の身体に良い物をバランス良く食べてくださいね」という非常にフワフワしたアドバイスをされることが多いのではないでしょうか?
しかし痩せるために必要なのは、カロリーの計算です。
自分の消費カロリーである活動代謝と、実際に摂取する食事からのカロリーの差で体重が決まります。
その計算通りにならない場合は、何らかの身体の問題を抱えているということです。
私は常に10名以上の長期のダイエット指導を受け持っていますが、原則的に毎日カロリーの報告をしてもらっています。
これは非常に手間のかかる作業です。お客様も毎日のカロリーの計算は面倒だし、私も間違いが無いか写真と数値を見比べてチェックしています。
1週間で10名以上×3食×7日=210食分以上のチェックを行います。
これがどれだけ手間か想像してみてください。
しかし、ダイエットをするために一番必要な作業なので実行しています。
だからそれをしないで、適当な食事指導だけを行うにも関わらず、「こうすると痩せられます」などと宣伝する業者が許せません。
面倒くさい地道な作業のみが、成功への近道です。
断食も、断食期間が終わってからカロリー計算をすることが皆無なので、あとの食事量はその人任せとなります。
食欲を我慢して、たまたまアンダーカロリーになれば、理想的なビフォーアフターの写真を宣伝材料とされ、オーバーカロリーになれば食べ過ぎた自己責任とされてしまいます。
食欲というのも複雑な仕組みによって成り立っているので、自分の食欲が異常であれば、その原因を突き止めなくてはなりません。
食欲は本能なので、抑えようが無いのです。
飢餓になれば、無意識にでも人間は食べるようにできています。
そうならないように、計画的にカロリーをコントロールして、その他の食欲を変動させる要因もクリアしていくことで、安全に苦痛が無く痩せることができます。
「断食期間が終わった後は簡単なアドバイスを残しただけで後は放置」というやり方では、たまたま痩せる人と、リバウンドで太る人のどちらかです。
痩せると誤認させて断食に申し込ませて、実際は自己責任と言って逃げるのは、景品表示法の優良誤認になるかもしれません。
私の断食の指導では、ボディーメイク指導で行っているような毎日の食事の写真とカロリー・PFCの数値のチェックは行えませんが、ある程度自立できるように、カロリー計算の方法をお伝えしています。
必要であればセミナーの一部を提供して、ご自分で行える手助けをしています。
真面目に妥当な方法でダイエット指導をしている人から見たら、凄くお粗末なのが断食のダイエット指導です。
痩せやすくなる断食
しかし、断食には他のダイエット法では得られない効果があります。
腸内細菌のリセットや、腸管を休めること、小胞体ストレスの開放や、解毒機能の亢進などです。
これらは慢性炎症を起こしにくい身体を作ることができるので、インスリン抵抗性の改善に役立ちます。
インスリン抵抗性が改善すれば、摂取した糖が細胞でエネルギーとして使われやすくなり、脂肪細胞に溜め込まれにくくなるので、元気になり、太りにくくなります。
また、小胞体ストレスの開放ができると、肉に含まれる飽和脂肪酸の欲求が減ることがわかっています。、
こってりラーメン、ピザ、焼肉などを衝動的に食べたくなることは無いでしょうか?
それらの欲は小胞体ストレスの開放で抑えやすくなります。
断食を終了するとしばらくは食の好みが変わることがあるのですが、そういった仕組みもあるかもしれません。
断食業界の今後
これらのメリットを享受するためには、断食の養成校から貰ったDVDと資料を見て、勉強するだけでは足りません。
どこの指導者の養成機関も体系的には教えてくれないので、自分で勉強する必要がなります。
それができている指導者が、ほとんどいないのが現状です。
安易にダイエットができるという広告で集客して、結果が伴わず、断食の本当の健康効果を引き出す方法も知らないで指導者を名乗っている人が多いのが、本当に残念です。
断食の業界を発展させるためにも、指導者には独自の勉強を続けて頂きたいと思います。
副業の小遣い稼ぎで行える勉強量ではないので、1日中身体と栄養の勉強ができる人だけが断食指導者になってほしいです。
分子栄養学と同じく断食も黎明期で、批判される部分もあります。
しかし非常に感覚的であった断食という習慣を、糖質を含むドリンクの少量・頻回の摂取という方法で、低血糖を予防しながら実践できるようにしてくれた先人達や、断食で得られる健康効果を引き出すための分子栄養学的なアプローチを構築してくださった先人達には、感謝の気持ちがあります。
これからは過去の情報を更新できないまま、過去の成功にしがみつく人と、これまでの断食の問題を究明して、断食業界の更なる発展に寄与する人のどちらかに別れると思います。
私も誰よりも断食の魅力を正確に伝えられるようになりたいと思い、日々精進しております。