ブログやSNSで、特定のサプリを飲むと疾患が治ると紹介されていることがあります。
初心者の頃は、それがとても魅力的に映るはずです。
「医者にかからなくても、自分で治せるんだ」
「医薬品より身体に優しいサプリで治したい」
そう思ってる人がヤバい理由。
これから紹介するのは典型的な分子栄養学の詐欺的手法ですが、多くの人が騙されているパターンと思います。
分子栄養学を勉強し始めたあなたなら見たことがあるのではないでしょうか?
分子栄養学の詐欺的手法
タイトル: ◯◯という病気を治すサプリはこれです!
→共感を誘う導入文
→今回のネタを紹介
→本文と関係性の低い内容の論文のURLを紹介。
しかも全文のPDFは有料のため、一般の読者が購入する可能性は低い。
だから本文と引用した論文の関連性が低いことはバレない。
→ブログ本文と論文には関係性が低く疾患を治すとは言い難いのに、論文で紹介されていて信ぴょう性が高いという誤った情報を提供する。
→アフィリエイトリンクを添付して購入を促す。
※アフィリエイトとは ブログやSNSで商品を紹介することにより、製造メーカーや販売サイトから紹介料が貰えるシステム。
以上が分子栄養学的な詐欺の手法です。
騙された結果
この手法に騙されると以下のような結果となります。
読者: 無駄なサプリを買ってお金を失います。
栄養素の欠乏があった場合、サプリで補充されたので良い体感が得られる可能性があります。
良い体感が得られるとブログに対して好意的なコメントを書く人が現れて、拡散されることになります。
しかし高額なサプリを摂取しなくても、普段の食事で栄養価計算ができていれば欠乏が解消されたかもしれません。
執筆者: 法改正やアフィリエイト収入の規定が改定されない限り、未来永劫に渡り収益を得ることが可能となります。
ブログの本数が増えれば内容がデタラメであっても、生活を成り立たせるのに十分な収入を得ることが可能となります。
有料の論文を購入してまで嘘を暴く人が居ないので、 実態がバレることなく安定収入を稼げるようになります。
この型は分子栄養学ではない
今回紹介した詐欺的手法の型は、分子栄養学とは言えません。
医薬品の代わりにサプリを使い、症状を改善させようという発想をしている人が多いと思います。
「◯◯という病気には、✕✕というサプリが効く」 と思い込んでいる人も多いのではないでしょうか?
私はこの質問が来る度にウンザリしています。
特定の疾患に誰でも効果があるようなサプリはありません。
サプリは医薬品ではないのですから。
解熱や鎮痛剤なら、ほぼ全ての人に確実に効果があると思います。
そして医師や薬剤師の説明と、添付文章により使用法を学ぶことができます。
しかしサプリメントを買っても使用法を教えて貰えることはありません。
クリニックで雑な説明を受けるか、無料のSNSやう有料のセミナーで断片的な情報を得るだけです。
だからせっかく高額なサプリを買っても適切に使えない人が多いのです。
誤った発想に至る理由
例えば今回の型に騙されている人は、私に対して次のように質問されます。
「先生、副腎疲労に効くサプリを教えてください」 このとき私が何を考えるかわかりますか?
1秒残念な気持ちになってから、その人がわかる言葉で必要な情報を伝える方法を考えるために頭を高速回転させます。
完全に間違った知識を積み重ねているとはいえ、その人に悪気はありません。
標準治療で見放されても、自分の力で何とかして今の症状を改善したいと思っている自主的な人なのは確かです。
しかし情報を集めている内に、誤った概念を植え付けられてしまい、「副腎疲労に効くサプリは…」などと聞くようになってしまったのです。
思考に悪い癖が付くと、修正するのに多大な労力を必要とします。
自分の症状が何らかのサプリで改善すると期待しているなら、私がそれを教えてくれないと失望するかもしれません。
失望させてしまえば、これから学ぶべき内容を理解しようと思ってくれなくなるかもしれません。
自分の症状を改善させてくれるという存在しないサプリを探し続けて迷走している人に対して、私が「身体の仕組みを勉強しましょう」と言っても届かないのです。
今の症状を改善するサプリを教えて欲しいという発想を持つくらいなら、分子栄養学について何も知らないまっさらな状態で来てくれた方が説明がしやすいです。
間違った思い込みは、それだけ怖いのです。
だから詐欺的手法を用いて、アフィリエイト収入を稼ぐ人を私は否定します。
本当のサプリの使い方
副腎疲労を治すサプリは存在しません。
しかし、現状を正確に把握して適切なサプリを使用すれば、早期に副腎疲労の状態から回復することは可能です。
両者のどこが違うのか具体的に解説します。
まず、副腎疲労と言っても警告反応期、抵抗期、疲弊期のどれに当たるのか。
また日内変動によりコルチゾールの分泌パターンにどのような特徴があるのか。
これにより使用するサプリが異なります。
コルチゾールが低い時間帯に、コルチゾールを分解するサプリを使用したら具合が悪くなります。
疲弊期の人が、御岳百草丸を使って低血糖の症状が悪化するのがそれに当たります。
逆にコルチゾールの分泌が過剰になったときに、コルチゾールを温存するサプリを使ったら不調が出やすくなります。
コルチゾールが過剰なときにリコリスを使えば、高血糖や免疫の異常や血管透過性の亢進が起きやすくなるかもしれません。
前の章まで誰でも読めるように書いたつもりですが、この章から話に付いてこれない人も出始めたと思います。
わざとそう書いてます。
副腎疲労を改善しようとしたときに、この章でお話した内容は初歩中の初歩です。
これが理解できていないと、適切にサプリを使えないどころか、逆効果で具合が悪くなることもなります。
だから身体の仕組みを理解する必要があるのです。
たくさん勉強しなくてはいけないことがあります。
しかし◯◯という症状は✕✕というサプリで治ると思っている人は、そんな勉強をせずに今の悩みが解決すると思っています。
- 実際には膨大な勉強が必要
- しかし自分はサプリを飲むだけで解決すると思ってる
この現実と思考のミスマッチが不幸な結果を生むのです。
どちらも選べます
本文と関係の無い論文を引用して説得力を増そうとする、悪質なブログに騙されて、執筆者のアフィリエイト収入に貢献しつつ、全然症状が治らないという不幸な結果を選ぶこともできます。
でも、そちらを選べば面倒な勉強をせずに済みます。
身体の仕組みや栄養素の働きを知らなくても生きていけます。
勉強が嫌な人は、そちらを選びましょう。
しかし確実に結果を出そうとする人は、徹底的に仕組みを理解しようとします。
訳の分からない不調だと怖く感じますが、必ず起きている症状には理屈があります。
その理屈は、身体や栄養素の仕組みを理解することでわかるようになります。
理屈がわかれば対処法の仮説を立てて実証していくだけなので、怖さはありません。
不安な気持ちはゼロで、淡々と検証していくだけです。
これができる人だけが、分子栄養学で確実な結果を出せます。
分子栄養学に向く人
分子栄養学で体調を改善させるのに向いている人は、以下のような考えを持っています。
旅行の前は大量のプランを立ててから最後の1個に絞る。
その際口コミなどを徹底的に調べる。
レストランに行くときも同業他社との比較を行い、間違いが無いと思った店舗を選ぶ。
何かの商品を購入したら説明書を読み、その通りに使用する。
説明書はファイルに保存して、わからない部分があればすぐに読めるようにする スマホの契約をする通信会社を選んでいる基準を聞かれると、明確に回答できる。
ただ単に「安いから」などではなく、家族の契約状況や他社との違いを鑑みて合理的に説明できる。
これくらい物事の仕組みに興味が持てて、合理的な判断をできる人は、複雑な身体の仕組みを理解して結果を出すことができます。
好き嫌いとか、楽しいかそうでないかで物事を考えるタイプは、分子栄養学には向きません。
普段から感情で物事を決めやすい人は、結果を出そうとするときだけは、頭を切り替える必要があります。
そうしないと結果を出すための思考ができません。
尊敬している先生の勧めるサプリをなんとなく買い続ける過去の自分とは決別しましょう。
これからは自分に起きている事を客観的に把握して、サプリに限らず必要な物を必要なタイミングと量で取入れていけるようになりましょう。
それが分子栄養学で体調の改善を行うということです。