いつもながら架空の話を書きます。
実際の人物・団体とは一切の関係が無いので想像を働かせずにご覧ください。
とある地方の開業医Aの話
とある地方の開業医のA医師。
専門は精神科です。
日本国内で承認されている薬を、標準治療の指針の通りに処方していますが、いまいち効果が出ません。
これに悩んだA医師は驚きの行動に。
日本で承認されていない薬が、個人輸入で購入できることに目をつけます。
そして海外から個人輸入した薬を自己判断で使用するための情報をFacebookのグループで公開しました。
内容は主に以下の2つです。
- 日本では副作用の確認ができていないため未承認の成分が含まれる医薬品の使い方
- 日本でも認可されている薬だが、標準治療では絶対に処方されない高用量の使い方
察しの良い方なら、もうお分かりだと思います。
これをしたらどうなるか…
実践をした一部の人は、今までに無い改善の効果がありました。
そしてA医師を神のように称えます。
「今まで多額の医療費がかかっても治らなかったのに、A理論を実践したら、たちどころに良くなりました。A先生は命の恩人です」 このような口コミが一部で囁かれるようになりました。
しかし事件が起きます。
A理論を実践した一部の人たちが重篤な副作用を引き起こしたのです。
医療の知識が全く無い一般人がFacebookの情報だけを信じて個人輸入で薬を手に入れて使用してしまった結果、多くの被害者を生んでしまったのです。
しかも個人輸入の薬で副作用が発生しても、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。
元々病弱で金銭的にも厳しかった人たちが、一縷の望みをかけて試した方法で、健康もお金も失ってしまったのです。
この事件はマスコミに大きく取り上げられました。
そして厚労省はすぐに対策を行い、個人輸入での医薬品の入手を完全に禁止してしまいました。
これに怒ったのが、元々個人輸入を正当な理由で行っていた病気の人たちです。
日本では未承認でも、有益な薬は存在していて、その薬のお陰で社会生活を送れていたのに、A医師の理論のせいで、もうその薬が手に入らなくなってしまいました。
このため健康状態を維持できなくなり仕事を失い、今までの生活を失うことになりました。
そこでA医師を強く非難したのです。
しかしそれに反発したのがA医師の理論で良くなった信者達です。
「良くなった人も居るのだから文句を言うな」
「A医師の足を引っ張りたいのか」
「自分が貧乏になったのを他人のせいにするな」
とても過去に身体を壊していた人たちとは思えないほどに、病気で苦しんでる人を罵倒します。
それらの争いを見ても、A医師は知らぬ存ぜぬで、今日もFacebookで自身の理論を提唱し続けてします。
そして信者はそれを広めてします。
こうして一部の信者は新しい被害者を増やしています。
まとめ
今回は個人輸入をテーマに、少し考えて頂く内容をお送りしました。
栄養療法を行う人は、iHerbなどの個人輸入サイトを使っているので対岸の火事ではありません。
医療に使うレベルの栄養素の使い方というのがあります。
それは栄養素だから安全というわけではありません。
栄養素には耐用上限量があり、知らずに高用量を使い続けると、健康障害が発生します。
今回のA医師のように栄養療法でも、医療用レベルの栄養素の摂取の仕方を、医療の前提知識の無い一般人に教えてしまう人が現れるかもしれません。
そうならない事を願うばかりですが、もしそうなったら情報の判断を行い自分や周りを危険な目に合わせないようにしましょう。
あなたの意思でA理論を広めたのに、「自分も騙されたんだ」は通用しないですよ。