鉄の血液検査の見方を教えるね

鉄の血液検査の見方を教えるね

2種のフェリチンについては、先日の記事で確認してもらえたと思う。

今回も今までの常識がひっくり返るかもしれないから、数値まで含めて、よく覚えておいて欲しい。

これを覚えてないと、貧血の対応を間違えて健康を害すことになるよ!

鉄の真実↓

目次

血液検査の例

Aさんのケース

  • ALT40
  • 中性脂肪30
  • フェリチン50

この3つの数値から、どこまで読み解けるかを解説します。

まず、各項目の意味と理想値を確認しましょう。

※理想値はあくまで目安です。

ALTの役割と変動要因

ALTは肝臓のダメージの程度を推測するために用いられる、血液検査の項目です。

理想値は20程度とされています。

肝臓の細胞に含まれる酵素なので、肝臓にダメージがあると血液中に漏れ出します。

だから、お酒を飲む人は、肝臓に負担がかかりALTが高くなることがあります。

例で示した、ALTの数値が40というのは、肝臓に多少のダメージがあることを予想します。

まずは、ALTは肝臓のダメージで上昇すると覚えてください。

そして、ALTの役割は、筋肉を分解して得られたアラニンというアミノ酸を使って、ピルビン酸とグルタミン酸を得ることです。

ピルビン酸は解糖系という場所で、ブドウ糖になります。

この流れは低血糖の時に起きるので、低血糖が起きるとALTの消費が激しくなります。

低血糖だとALTは低下すると覚えてください。

次は、ALTと中性脂肪の関係について解説します。

中性脂肪が低い状態が表すのは

中性脂肪は、低血糖になると低下する血液検査の項目です。

低血糖が起きると、中性脂肪を分解してブドウ糖を得ます。

このため中性脂肪の低値は、日常的に低血糖を起こしている状態を予想します。

糖質制限をしていたり、摂取カロリーが足りない状態や、副腎疲労だと中性脂肪の数値が下がりやすくなります。

つまり、低血糖状態が続くと、中性脂肪の数値が下がりやすくなります。

そして、中性脂肪の数値は100程度が理想値とされています。

一方、最初に例で示した30という数値は、日常的に低血糖を起こしている状態が予想されます。

ALTと中性脂肪の関係

ALTと中性脂肪は、低血糖で低下する数値だということを解説しました。

そこで、低血糖で中性脂肪の数値が低下すれば、ALTの数値も低下すると考えられます。

しかし、今回示した例では、中性脂肪が30という低値にも関わらず、ALTが40という、やや高値になっています。

このことから、ALTは低血糖が無ければ、本来はもっと高く、相当な肝臓のダメージを負っていると予想されます。

本題の鉄の話

血液検査で測定する、血清フェリチンの意味については、フェリチンについて説明した記事をご覧ください。

血清フェリチンが貯蔵鉄でないことが理解できていればOKです。

フェリチンの数値は、女性であれば20~30程度が理想値です。

検査会社によって異なりますが、基準値の範囲が、男性で30〜400 ng/mL、女性で13〜150 ng/mL程度とされています。

50を超えると、肝臓の炎症を疑います。

例で示したフェリチンの数値が50なので、肝臓の炎症を予想します。

3つの数値を総合的に見ると

見やすくするために、もう一度、例を示します。

Aさんのケース

  • ALT40
  • 中性脂肪30
  • フェリチン50

Aさんの肝臓にダメージが無かったら、おそらくこのような数値になります。

  • ALT12
  • 中性脂肪30
  • フェリチン15

ALTとフェリチンが、だいぶ下がったことがわかります。

ALTとフェリチンは、両方とも肝臓に多いので、肝臓ダメージがあると血液中に漏れて、血液検査の数値が上昇します。

それが無くなったのが、ダメージが無かった場合の数値です。 ALT12というのは、低血糖の状態を明確に表しています。

そしてフェリチン15というのは、まだ貯蔵鉄を使い出さない数値です。

フェリチンは12を下回ると、貯蔵鉄を切り、放置すると将来貧血になると考えられます。

フェリチンだけでなく、ヘモグロビンの数値なども総合的に見ないと判断できませんが、フェリチンの数値だけを見る限り、15という数値は、鉄のサプリの使用を検討する段階ではないと思います。

鉄不足の場合の対応

必要な分のカロリーを食べられない、少食の場合などは、食事で足りない分の鉄をサプリで補うのは良いかもしれません。

しかし、サプリよりは、まずは食事に含まれる鉄の量を計算できる能力を身に着けるのが先決だし、リスクが少ないと思います。

どうしても食事からの鉄が取れない事情がある場合は、サプリの検討をします。

多くの分子栄養学カウンセラーも、藤川理論の関係者も、無理なく鉄を摂取できるレシピに関する配信が足りないです。

身体が弱っているときは、食べにくいメニューも多いと思うので、献立を一緒に考えて、鉄の摂取量を食事から増やしていく手伝いができるのが、理想的な栄養指導者です。

実は藤川理論初期の数値です

  • ALT40
  • 中性脂肪30
  • フェリチン50

実はこの数値、藤川理論を行った場合に起こりやすい、初期の数値のモデルです。

藤川理論では糖質制限を求めます。

そこで中性脂肪とALTの数値が下がるはずです。

しかし、キレート鉄の過剰摂取による活性酸素と、NOWのB50の過剰摂取による肝機能への負担で、ALTとフェリチンが上がります。

その結果、肝臓の影響を受けづらい、中性脂肪の値だけがマスキングされず30となり、フェリチンとALTが上昇します。

この状態を、藤川理論ではフェリチンが上がってきたと言って喜んでいます。

これはハッキリ言って異常です。

身体で起こっていることを全くわかっておらず、血液検査の数値の意味を理解していない滅茶苦茶な理論です。

フェリチンが15から50に上がっても、それは貯蔵鉄が増えたとは限りません。

肝臓のダメージにより上がっている可能性もあるのです。

藤川理論で推奨されるサプリの飲み方をすれば、高確率でそうなります。

だからこれだけ被害者が居るのです。

終わりに

ALT、中性脂肪、フェリチンの、たった3つの数値からでも、これだけのことが読み取れます。

実際には、もっとたくさんの項目を、相互の関係性も読み取りながら、その人の状態を想像して、栄養指導を行います。

鉄の適正量の見極め方は本当に難しいです。

今回紹介した項目以外も、たくさんの項目から摂取量を考えていかなくてはなりません。

そうしないと、フェリチンだけ上昇して、ヘモグロビンは全然増えていないような、藤川理論の典型みたいな血液検査になります。

余った鉄は遊離鉄として、活性酸素で全身のDNAの損傷と、肝臓のダメージで肝硬変のリスクを高めているということです。

どうか、一人の医師の思いつきの治療法に傾倒せず、医療ガイドラインや、食事摂取基準、食品成分表などの、常識的な資料を判断材料とできるようになってください。

国の栄養摂取のガイドラインが、どれだけの苦労の上に成り立っているか知ることができれば、絶対におかしな栄養療法に騙されなくなります。

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