身体の調子が悪くなったと自覚したのは、いつからでしょうか?
今日は、不調が起きるまでの経緯をお話します。
これを最後まで見ておけば、大きな症状が出る前に未然に防げるかもしれません。
知らないとヤバい。
不調の前に起きる◯◯
多くの人は、健康と病気の状態を明確に分けて考えています。
痛みがある、気持ちが悪い、頭がモヤモヤするなどの身体症状が現れたときに不調だと感じ始め、病院で病名が付く症状が現れて、初めて病気だと気が付きます。
不調より先の兆候
あるお母さんがこう言いました。
「息子が風邪を引くときには、前日から様子がおかしくなるから気がつくよ」
これを言われた当時、私はピンとこなかったのですが、育児を経験したことがある方ならわかるのではないでしょうか?
風邪を引いたときの初期症状である発熱やダルさ。
そういった明確な不調が出る前にグズったり機嫌が悪くなったりと、いつもと様子が異なることがあるはずです。
突然発熱やダルさが出てくるのではなくて、だいぶ前から兆候が現れてたのですね。
実は、この頃に対処をすると風邪を悪化させないで済みます。
風邪を引く前に起こっていること
風邪を引く前に、感染が成立しやすい身体の状態というのがあります。
IgAという粘膜免疫が低下すると、風邪をに感染しやすいとされています。
IgAは疲労の目安ともされており、風邪を引く前には疲労感が知覚できているはずです。
更に感染が成立してウィルスが増殖する前に、わずかな炎症が起きているはずです。
このとき炎症を抑えようとしてコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールの分泌パターンが変われば血糖値に変動が起きます。
高血糖と低血糖を繰り返すのでアドレナリンが出やすくなります。
こうなるとヒトは不機嫌になります。
先程お母さんが気がついたグズりと機嫌の悪さの原因はこれかもしれません。
もし事前に対処できいれば
疲労を感じた時点で休んでいれば、IgAの量が回復していたかもしれません。
また、食事に気をつけて、ビタミンA、D、C、亜鉛、プロバイオティクス、オメガ3などの不足があれば摂取しておくとIgAを低下させづらかったかもしれません。
金曜日の時点で何か様子がおかしい。
日曜日にはディズニーランドに行く予定があるけど、前日の土曜日に子供がサッカーの練習をしていた。
そして月曜日の朝に発熱。
こんなときに前日のサッカーの練習をお休みしたり、短時間で済ませておき、ディズニーランドは来週にしておけば月曜日に風邪を引いていなかったかもしれません。
また、感染が成立してコルチゾールの分泌が増えていれば、副腎の負担を軽くするためにリコリスを服用しておけば風邪の重症化を防げたかもしれません。
このように事前に兆候に気がつくことができれば、その後の重症化を防げる可能性があるのです。
兆候に気がつくには
大きな不調になる前の兆候に気がつくには、コツがあります。
それは普段から身体の仕組みの理解をしつつ、自分の身体の変化に敏感になることです。
初期の兆候から不調が起きるまでの流れが言語化できている人は、今の自分の身体に必要な対処をして重症化せずに済みます。
一方、身体の声を無視して忙しいから無理をしたり、楽しいことがしたいから予定を変更しないと大きな不調に進行します。
わずかな身体の変化を感覚として捉えるだけで終わらせず、生理学的に説明できる能力が必要になります。
生理学とは身体の細胞や内臓、器官のそれぞれにどのような働きがあるか知るための学問です。
学校の勉強で生理学を学んだ人は退屈だったかもしれません。
でも身体を良い状態に保つための活きた学問として学習すれば、これほど興味深いものはありません。
IgAやコルチゾールなどの聞き慣れない言葉が、体調を整えるための最強の武器だと感じられると思います。
生理学の入門書は、こちらがオススメです。
マンガなので、とても理解しやすいです。
専門書の詳細な知識まで理解できていると理想ですが、これを知っているだけで体調を改善させるための対処の幅が広がるはずです。
ただ読み流してもつまらないかもしれませんが、日々の自分の症状に繋げて考えたらとても面白く読めると思います。
そして生理学的に今の自分の身体の状態を言語化できたら、対処をできる選択の自由度が必要になります。
自分の都合でいつでも予定を変更できる環境が必要です。
「日曜日の予定をキャンセルしたいと言ったら家族の機嫌が悪くなる」
「休みたいと言ったら仕事を干される」
そんなビクビクした状態で生きていたら、自覚できた兆候を無視して不調になり、強烈なストレスを感じるはずです。
自分のワガママを押し通しつつ、周囲の人の理解が得られるような環境を手に入れる必要があります。
これには対人関係や仕事の能力が必要になるので、別の機会にお話します。
練習問題
ここまで風邪を例にしましたが、全ての不調には自覚できる兆候があります。
今から紹介する兆候から、取るべき対処を想像してみてください。
『ここ最近の身体の変化』
- 歯垢が溜まりやすい
- フケが出る
- 靴を脱ぐと臭い
この程度の身体の変化だと、放置する人が多いと思います。
今までそんなことは無かったのに、突然これらの変化が現れた。
そんなときに加齢のせいにしたり、気にせず生活を続ける人が大半です。
そして大きな不調に繋がります。
実はこれ、カンジダの初期症状です。
完全にこの症状が起きるとカンジダというわけではありません。
別の原因でこれらの症状が起きる可能性もあります。
しかしカンジダの可能性も高いので、初期に対応していれば大きな不調にならずに済みます。
リーキーガットになり、あらゆるサプリが効かなくなって大変な思いをする前に、こういった兆候があったはずです。
二度と今のような不調にならないように、事前の兆候に対して適切な対応が取れるようになりましょう。
分子栄養学のテンプレ治療法で迷子になる人
分子栄養学では、この症状にはこの対処というテンプレを教わることがあります。
カンジダを例にお話します。
- オリーブリーフ、オレガノ、ロイテリ、ナイスタチンなどで除菌をする。
- ダイオフが起きるならアセトアルデヒドを分解するのにモリブデンが必要なので、モリブデンを摂取する (↑この知識は間違いです。ダイオフの原因は他の場合も多くあるので。分子栄養学だとこう教えられます)
- 除菌前後はカンジダを増やす食品を取らない、または減らす。 (砂糖や果糖ブドウ糖液糖、果物、パンなどの糖質、発酵食品、キノコ類など)
こういうテンプレの情報に踊らされる人は、回復が困難になります。
糖質が良くないならご飯は大丈夫なの?
有機酸検査でカンジダの分泌物が検出され続けているけど、いつまでこの制限食をすれば良いの?
こういった疑問が頭の中を巡りながら却って免疫が低下して、カンジダ症が悪化する食事を取り続けます。
テンプレの治療法を真似することしかできないとこうなります。
身体で起きていることを理解しないでテンプレを真似しても良くなりません。
一時的に除菌が上手くいっても、兆候を無視し続けるので再発する可能性が高いです。
教える方もテンプレを伝えるのは楽なんです。
全員に同じことを教えれば良いので。
でもそんな情報はネットに無料で転がっています。
そうではなくて、その人の不調の本当の原因を探って対処法を伝えていく必要があると思います。
今回は風邪とカンジダを例に出しましたが、全ての不調で同じ考え方が使えます。
普段私が教えていること
分子栄養学の講座で小難しいことを教わっているのに、症状が全然良くならないという話を聞き続けてきました。
その状態をなんとかしたくて、いくつもの施策を考えてきました。
2年前に公開した栄養基礎セミナーもその1つです。
カロリー軽視で1,300kcalなのにビタミン・ミネラルのサプリを摂取しているという異常な状況を指摘して、セミナー中に泣き出した人もいました。
「今まで何十万円もかけて教わってきたことは何だったんだろう」
「不調の原因を自分の心理のせいにされて非常に悔しかった。でも自分の不調の答えが見つかった」
このような声を頂きました。
しかしまだ足りません。
普段私や妻が行っているようなレベルの、兆候の時点から対処を行い、不調を未然に防ぐという技術ができている人を見たことがありません。
膨大な身体と栄養の知識に加えて、自分の身体への観察力が必要なこの能力を、全ての人に持っていただきたいのが今の願いです。
もうテンプレの治療法は卒業して、不調が起きない身体を手に入れましょう。