健康を求める人から人気絶大な栄養素がMgです。
しかし理屈をわかった上で使えている人はごく少数のように感じます。
そこでMgの徹底解説をします。
これを見ればSNSの間違った情報に騙されて不要なお金を使ったり健康被害に合わずに済みます。
①Mgの必要量
栄養素について語るには、まずは必要量を考える必要があります。
日本人の食事摂取基準によると、成人のMgの必要量は男性350mg/日前後、女性290mg/日弱とされています。
この数値はいくつかの研究から、4.5 mg/kg体重/日を成人の体重あたりの必要量としたものです。
この数値をある程度下回ると、Mgを取り入れる量と排出する量のバランスが崩れて、Mg不足が進行すると考えられます。
長期の不足があった場合は、下痢をしないように適切な方法で、これ以上の量の摂取が必要だと考えられます。
② Mg不足になりやすい人
さきほどの食事摂取基準は統計的な考え方であり、特殊な状況の人には当てはまらないかもしれません。
そこで身体の仕組みの面から不足しやすい人について考えてみます。
以下がMgが不足しやすい人です。
①ストレスが多いとMgの排出が増えます。
②低カロリー状態はMgの排出が増えます。
③副腎疲労だとMgの排出が増えます。
それぞれについて解説します。
ストレスにより分泌されるアドレナリンやコルチゾールは、マグネシウムを細胞の外に移動させることが報告されています。
低カロリーな食事をしていると、脂質代謝が高まり遊離脂肪酸が増えます。
このときMgが排出されやすくなります。
遊離脂肪酸が増えるとケトン体が産生されます。
ケトン体は酸性のため血液を酸性に傾けます。
酸性に傾いた血液を中和しようとするのにMgなどのアルカリ性のミネラルを使うので、Mgの排出が増えます。
血液が酸性に傾いたらクエン酸や重曹などでPHを中和するという対策が考えられます。
副腎疲労疲弊期だとコルチゾールを出しにくくなるので、血糖値を維持できなくて脂質代謝が進みやすくなります。
あとのケトン体からの流れは②と一緒です。
このような特殊な状況では、日本人の食事摂取基準の健康な人の研究は参考にしかなりません。
だから特殊な方法でMgを摂取して効率よく体調を回復する必要があると考えられます。
③最高効率のMg摂取法
Mgの過剰摂取で考えられるのは健康な人の下痢と、腎臓に問題を抱える人の腎機能障害とされています。
腎臓に特に問題が無い場合、極力下痢を起こさない方法が望ましい摂取法だとわかります。
これは有料の第三者機関の情報ですが、一部だけ公開します。
全ての情報を見る方法は最後に書きます。
サプリメントのMgには、いくつかの形態があります。
その中でコスパと吸収率の高さから使い勝手が良いものを紹介します。
・クエン酸マグネシウム 低用量での吸収率が30%で、コスパが良い。
・グリシン酸マグネシウム 低用量での吸収率は24%だが、1日350mgを超える高容量での摂取でも吸収できる。(通常のMgの吸収経路ではなく、アミノ酸の吸収経路を使っているため)
マグネシウムのサプリといったら、この2択です。
食事で足りない分を少し補給 →コスパの良いクエン酸Mg
大幅な不足の解消を目的とする高容量の摂取 →グリシン酸マグネシウム
まずはこの2つの使い分けをできるようにしましょう。
④キレートタイプの詐欺
グリシン酸マグネシウムのように、マグネシウムと別の物質を結合させる加工を、キレート加工と言います。
キレートとはギリシャ語のχηλήで、爪を意味します。
グリシンの爪にマグネシウムを挟んで、グリシンの吸収経路から吸収できるようにしたのがグリシン酸Mgです。
しかし、Mgを挟んでいない製品がいくつも見つかっています。
ただの金属Mgとアミノ酸のグリシンが入っているのです。 これでは吸収率が高くなりません。
正しくキレートされているのが認められているサプリを選ぶ必要があります。
⑤にがりやトレースミネラルについて
にがりやトレースミネラルなどでMgを摂取しようとする人もいます。
主な成分は塩化Mgで、低用量での吸収率は20~40g以上とされており、優れた摂取法です。
しかしキレート加工はされていないので、高容量だと下痢になるリスクが上昇します。
もし使うのであれば、クエン酸Mgと同じようなイメージで使って頂ければ良いと思います。
にがりとトレースミネラルの違いは、ナトリウムを除いてあるかどうかです。
にがりはナトリウムを取り除いていないので、食事の塩分が多ければ将来高血圧になる確率が上がるかもしれません。
また、有害金属やダイオキシン類の検査をしていない製品も多いため、にがりはリスクがあります。
一方トレースミネラルは有害物質の検査もしているし、ナトリウムを除去してあるので安心して使えます。
にがりやトレースミネラルのメリットは、マグネシウム以外の微量ミネラルも摂取できる点です。
通常なら不足しないような微量の栄養素が、極端な少食などで不足しているなら価値があるかもしれません。
※追記: iHerbを使えない高齢者などが、近所のスーパーで手に入れられるMgの摂取源として、にがりは優れているかもしれません。
⑥経皮Mg製品について
経皮Mgについて調べた研究は一応はあるのですが、精度の高い研究ではなく、今後のデータの蓄積が求められます。
以下論文と研究データ:
Watkins, K., & Josling, Pd. (2010). A pilot study to determine the impact of transdermal magnesium treatment on serum levels and whole body CaMg ratios. Biology.
参加者が経皮塩化マグネシウムバスフレークで20分間足を浸し、1か月間毎日1回全身にマグネシウムオイルをスプレーしたところ、マグネシウムの細胞間レベル(口から拭き取った皮膚細胞で測定)は、31.4 mEq/L から 41.2 mEq/L に増加したと報告されています。
経口のキレートほどの効率ではないので高容量の補給はできないが、低用量であればサプリと同等の吸収ができる可能性があるというのが、現段階の情報から推測できることです。
⑦SNSの誤ったMg情報一覧
間違った情報を元に実践すると健康を害したり、無駄なお金を使ってしまいます。
そこでSNSで見かけたことのある間違った情報について解説します。
酸化Mgでマグネシウムの補給ができます。
酸化Mgの吸収率は4%です。少量なら摂取源として考えられるという主張を見かけますが、酸化Mgは下剤です。
Mgの摂取目的の量を摂取すると下痢をしやすくなると思います。 酸化Mgが選択肢として考えられる状況は限定的でしょう。
経皮Mgは吸収されません
分子量的にMgは吸収されないという主張があります。
それなら湿布薬のインドメタシンの方が分子量が大きいのに、効果が認められています。
Mgは付属器官経路という経路で吸収されると考えられます。
少なくても現段階では根拠のレベルの高い論文が存在しないので、保留としておくべきであり、経皮吸収されないというのは言い過ぎな気がします。
アミノ酸キレートのサプリは危険です
このような説明でMgサプリの優劣があるように見せる人が居るそうです。
しかしMgのサプリにはそれぞれの特性があるだけで、誰でも危険ということではありません。
アミノ酸キレートのアミノ酸の量はごく僅かで、食品にも普通に含まれる量です。
グリシン酸マグネシウムのグリシンの量は、快眠のためのサプリのグリシンの量に遠く及びません。
一部のアミノ酸の代謝に問題が出やすい遺伝的特性の方を除いて、何ら問題が無い量だと考えられます。
コスパの良い貴重なサプリが危ないという情報を得て、避けてしまい、他の値段が高いサプリを買うのは賢明とは言えません。
グレートソルトレイクの南側で採取したトレースミネラルは汚染されています。
北側で採取したものは、汚染が無く安全です。
トレースミネラルはアメリカのグレートソルトレイクという場所で採取されます。
その湖の中の採取地の違いで安全性が異なるという主張をする人がいます。
しかしトレースミネラルは検査で有害物質が非検出とされているし、湖の水流は常に変わっているので、採取地を変えれば安全という理屈は通用しません。
トレースミネラルより高い値段で、同等かそれ以下の可能性のある製品を買う理由はありません。
サプリを買うなら説明に矛盾が無い製品を選びたいです。
こちらのトレースミネラルで十分です。
Trace Minerals ®, ConcenTrace
これより高額なドクターズサプリの液体Mgは必要ありません。
⑧終わりに
しかしこれは特定の実験の結果であり一例です。
マウスの実験では腸内環境を改善したら、Mgを含む各ミネラルの吸収率が20%ほど上昇したという研究があります。
つまりいくらMgの製品にお金をかけても、腸内環境を改善しないとお金の無駄になるということです。
吸収できない腸に高額なサプリを吸収させるより、腸の状態を整えて普通の食事でMgが補給できるようになりたいですね。
今回は主にMgのお話をしましたが、このように腸内環境も吸収率に大きく関わるので、Mgについてだけ詳しくなってもダメなんです。
引き続き腸の勉強を続けていきましょう。
キレート加工や有料情報の件ですが、ブログで公開することはできないので、公式LINEで自動応答できるようにしておきました。
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