エビデンスと分子栄養学の違い

以下の架空のエピソードは、エビデンスと分子栄養学の違いを学ぶための、教育的な内容であり、医学的・栄養学的な信憑性を保証するものではありません。

栄養学の分野では、主流のエビデンスに基づく手法に加え、分子栄養学という比較的新しい考え方も存在します。これらは栄養問題に対して異なる視点からアプローチします。以下の架空のシナリオを通じて、それぞれの特徴、メリット、デメリットを探ってみましょう。

目次

エビデンスに基づくアプローチ – 海老出 証(えびであかし)医師の場合

    海老出医師は、オメガ3脂肪酸の心血管疾患予防効果を調査するため、2万人を対象とした5年間の大規模臨床試験を実施しました。

    メリット:
    海老出医師は、心血管疾患リスクの高い患者にオメガ3脂肪酸サプリメントを推奨するか検討していました。

    彼は2万人以上を対象に5年間追跡した大規模臨床試験の結果を精査しました。

    この研究では、EPA+DHAを1日2g摂取することで、心血管イベントのリスクが25%低下することが示されていました。

    海老沢医師はこの強固なエビデンスを基に、患者に対してオメガ3脂肪酸サプリメントの使用を自信を持って推奨し、その効果と安全性について詳細に説明することができました。

    さらに、この研究結果は国の栄養ガイドラインにも反映され、保険適用の拡大にもつながりました。

    デメリット:
    しかし、海老沢医師が次に取り組んだオメガ3脂肪酸の認知機能低下予防効果の研究では、問題に直面しました。

    認知症の発症は長期的なプロセスのため、20年以上の追跡調査が必要でした。10年経過時点で有意な効果が見られず、研究資金の継続が危ぶまれました。

    また、対照群の参加者の中にもサプリメントを自主的に摂取し始める人が増え、研究結果の解釈が複雑になってしまいました。

    分子栄養学的アプローチ -王曽文子(おうそぶんし)カウンセラーの場合

      王曽文子カウンセラーは、新たに発見された希少な自己免疫疾患の患者に対する栄養指導を求められました。

      メリット:
      この疾患に特化したエビデンスはまだありませんでしたが、応疎カウンセラーはオメガ3脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムに着目しました。

      EPAとDHAが炎症性サイトカインの産生を抑制し、抗炎症性メディエーターの前駆体となることから、オメガ3脂肪酸の摂取増加を提案しました。

      この迅速な対応により、患者の症状が改善し、後の研究でこの疾患に対するオメガ3脂肪酸の有効性が確認されました。

      デメリット:
      しかし、応疎カウンセラーが次に取り組んだ高齢者の筋力低下予防に関する提案では問題が発生しました。

      オメガ3脂肪酸の抗酸化作用と細胞膜流動性への影響から、高齢者の筋力低下予防に効果的だと考え、高齢者施設でオメガ3脂肪酸の積極的な摂取プログラムを開始しました。

      しかし、数ヶ月後、参加者の筋力に顕著な改善が見られず、一部で副作用が報告されました。

      後の研究で、高齢者の筋力維持には他の要因がより重要であることが明らかになり、応疎カウンセラーの推論が生体システムの複雑さを過度に単純化していたことが判明しました。

      2024年7月現在の、栄養学の問題点

      この二つのアプローチは、それぞれ長所と短所を持っています。

      にも関わらず、SNSなどでは、それぞれの専門家がいがみ合っている場面を見かけることがあります。

      分子栄養学を完全否定している管理栄養士
      ・エビデンスを無視して、既存の栄養学を「旧栄養学」と称してしまう、分子栄養学カウンセラー

      これらは、自分の領域しか知らないために陥る発想です。

      それぞれの長所と短所を知っていれば、一方的な非難はできないはずです。

      自分の専門分野には、見落としがある。それを補完してくれる別のジャンルが存在する

      そう思うことができれば、別の分野の専門家に対して、もっとおおらかな態度が取れるようになるのではないでしょうか?

      別の分野の専門家を、異端の教徒として認識するのではなく、共に健康に問題を抱える人の課題を解決するための、チームだと思えるようにすると、互いの発展がますます広がるのではないでしょうか?

      今はこんな感じ▼

      将来はこうなりたいですね▼

      エビデンスに基づくアプローチ 分子栄養学(生化学・生理学的推測)
      メリット 科学的信頼性が高い
      再現性がある
      一般化しやすい
      長期的な影響を評価できる
      副作用や安全性の情報が得られる
      ガイドライン作成の基盤となる
      医療政策や保険適用の根拠となる
      迅速な対応が可能
      個別化された対応ができる
      新しい研究の方向性を示唆する
      複雑な生体システムの理解を促進
      初期段階での費用対効果が高い
      新たな仮説の生成に役立つ
      メカニズムの理解を深める
      デメリット 時間とコストがかかる
      倫理的制約がある
      特定の条件下でのみ有効
      新しい問題に対応が遅い
      個別性を考慮しにくい
      研究バイアスの影響を受ける
      複雑な相互作用を捉えにくい
      直接的なエビデンスの不足
      過度の単純化のリスク
      個体差の考慮が不十分
      倫理的な問題の可能性
      誤った結論のリスク
      科学的厳密性の欠如
      一般化の難しさ
      新たな問題を引き起こす可能性


      この記事が気に入ったら
      フォローしてね!

      よかったらシェアしてね!
      • URLをコピーしました!
      • URLをコピーしました!
      目次