アトピー発症の仕組みと、分子栄養学的対策

アトピーが発症する仕組みを図解します。

これらの各段階に対して、できることを探していくのが、分子栄養学です。

更に、当てずっぽうで全段階の対策をしていくのではなく、自分の弱点を探して、そこに特化させて対応ができると、効果的な対処法が取れると思います。

例えばTh2細胞の分化が過剰な人であれば、乳酸菌生成エキスの摂取で効果があったという報告があります。

Th2が過剰であることは、以下の数値を調べれば判断できます。

Th2関連サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13)
Th1関連サイトカイン(IFN-γ, IL-2)

検査して、自分のTh2の分化が過剰だと判断したら、それに影響を与える行為をすれば良いのです。

他の各段階についても同じです。

1. 正常な皮膚バリア構造
健康な皮膚は複数の層からなる強固なバリアを形成
– 角質層:角質細胞(コーニファイドエンベロープ)と細胞間脂質で構成 – 顆粒層:タイトジャンクションが存在し、バリア機能を補強 – 有棘層・基底層:ケラチノサイトが増殖・分化
主要分子:フィラグリン、ケラチン、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸
2. アレルゲン接触と初期反応
アレルゲンが皮膚に接触し、免疫系が活性化
– 表皮細胞によるアレルゲン認識:PAMPs/DAMPsを介した認識 – 表皮細胞からの警報サイトカイン放出:TSLP, IL-33, IL-25 – ランゲルハンス細胞の活性化:アレルゲンの捕捉と処理
関与する受容体:TLRs, NLRs, PAR-2 初期サイトカイン:TSLP, IL-33, IL-25, GM-CSF
表皮細胞とランゲルハンス細胞の相互作用が初期免疫応答を誘導
3. 炎症カスケードの開始
サイトカインネットワークの活性化と免疫細胞の浸潤
– 樹状細胞の活性化と遊走:リンパ節への移動 – T細胞の活性化:主にTh2細胞への分化誘導 – サイトカイン産生の増加:IL-4, IL-5, IL-13, IL-31 – ケモカイン産生:CCL17, CCL22, CCL26
転写因子:STAT6, GATA3 (Th2分化に関与) ケモカイン受容体:CCR4, CCR3
Th2優位の免疫環境が形成され、アレルギー反応を増幅
4. 皮膚バリア機能への直接的影響
炎症性サイトカインによるバリアタンパク質の発現抑制
– フィラグリン発現の低下:IL-4, IL-13による抑制 – タイトジャンクションタンパク質の減少:クローディン-1, オクルディンの発現低下 – 脂質合成の変化:セラミド産生の低下
影響を受ける遺伝子:FLG (フィラグリン), CLDN1 (クローディン-1), OCLN (オクルディン) 脂質代謝酵素:セラミド合成酵素、スフィンゴミエリンデアシラーゼ
5. プロテアーゼ活性の上昇
内因性・外因性プロテアーゼによるバリアタンパク質の分解
– カリクレイン(KLK)の活性化:KLK5, KLK7の増加 – マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の上昇:MMP-9の増加 – ダニ由来プロテアーゼの影響:Der p 1, Der f 1
プロテアーゼ阻害剤の減少:LEKTI (SPINK5遺伝子産物)の機能低下 基質:デスモグレイン, デスモコリン (細胞間接着タンパク質)
プロテアーゼ活性の上昇が細胞間接着を弱め、バリア機能を低下させる
6. 角質層の構造変化
脂質組成の変化と角質細胞の接着低下
– セラミド比率の低下:特に長鎖セラミドの減少 – 遊離脂肪酸の組成変化:必須脂肪酸の減少 – 角質細胞間の接着低下:コルネオデスモソームの分解促進
影響を受ける酵素:セラミダーゼ活性の上昇 脂質比率:セラミド/コレステロール/遊離脂肪酸のバランス崩壊
7. 経表皮水分喪失(TEWL)の増加
バリア機能低下の結果として水分保持能が低下
– 角質層の水分量減少:自然保湿因子(NMF)の減少 – 細胞間脂質ラメラ構造の乱れ:水分保持能の低下 – 皮膚pH上昇:酸性皮膚マントの破綻
NMF成分:アミノ酸、ウロカニン酸、ピロリドンカルボン酸の減少 pH調節因子:尿素トランスポーター、乳酸産生の変化
皮膚の乾燥がさらなるバリア機能の低下と炎症を促進する悪循環を形成
8. 微生物叢の変化
皮膚バリア破壊に伴う細菌叢の変化
– 黄色ブドウ球菌(S. aureus)の増殖:毒素・酵素の産生 – 共生細菌(S. epidermidis等)の減少:正常な免疫調整の破綻 – バイオフィルム形成:慢性炎症の維持
S. aureus由来因子:エンテロトキシン、α-toxin、プロテアーゼ 抗菌ペプチド:β-ディフェンシン、カテリシジンの発現変化
9. 慢性的なバリア機能障害の確立
複合的要因による持続的なバリア機能低下
– 持続的な炎症:Th2/Th22優位の免疫環境 – 表皮過形成:角化異常と表皮肥厚 – 神経-免疫相互作用:神経ペプチドによる炎症増強 – 掻破による物理的損傷:機械的ストレスによるバリア破壊
慢性炎症マーカー:IL-22, TNF-α, IFN-γの持続的上昇 神経ペプチド:サブスタンスP, CGRP 掻破誘導因子:IL-31, TSLP
バリア機能障害、免疫異常、微生物叢変化の悪循環が確立

私のサロンでは、これらの仕組みを理解して、体調を改善させる能力を高める方法をお伝えしています。

分子栄養学の断片的な情報で混乱したり、自分に効果があるかわからないサプリをなんとなく買って散財するのは、もうやめにしましょう。

的確な推測を行い、検証することで、確実に体調を改善させる能力が高まります。

入退会自由なので、一度覗きに来て下さい。

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