低エネルギーの人が鉄サプリを摂ると、ヘモグロビンを作る前に、電子伝達系の方に効きます。
酸素を運ぶ赤血球を作る前に、ATPというエネルギーの元を作るということです。
だから良質な鉄サプリを飲むと、すぐにATPを作れて元気になる人がいます。
しかし落とし穴があります。
鉄サプリの落とし穴
ヘモグロビンというタンパク質を作るには最初にヘムを作るのですが、ヘムはTCA回路というエネルギーを産生する部分で作られます。
だからTCA回路が止まっているとヘムが作れません。
TCA回路は有害金属やカンジダの分泌物で障害され、各種ビタミン・ミネラルの不足で回らなくなります。
だからTCA回路のケアをしないまま、鉄サプリを摂取し続けても身体の中で使えないのです。
そうなると小腸での鉄の吸収はストップして、吸収されなかった鉄はカンジダや悪玉菌の餌となります。
だから鉄剤を飲んでいる人の便は臭いのです。
そして高用量のキレート鉄などで無理矢理吸収させようとすると、今度は血管内でたんぱく質と結びつかない遊離鉄という活性酸素を出す猛毒となります。
遊離鉄はガンや肝硬変を始めとする、酸化トラブルにより発生するあらゆる疾患の原因となります。
鉄サプリを飲む手順
だから鉄サプリを使うにしても、以下の手順が必要です。
- 栄養療法を取り組むための最低限の頭が回るように鉄サプリを使って電子伝達系を動かしてATPを作る。頭が回っているなら、この段階では鉄サプリは必要ありません。
- 鉄サプリを飲んだ場合は、ずっと飲み続けるとカンジダや遊離鉄の活性酸素の問題が出てくるので、いったんやめる。(この期間は人による)
- TCA回路のケアをしてヘムを作れるようにしたり、鉄が吸収できるように腸を始めとした全身の炎症を取る。
- 食事摂取基準を満たす鉄の摂取をできるようにする。
- 食事摂取基準の通りの鉄の摂取でもヘモグロビンやフェリチンなどの数値が上がってこないで、かつTCA回路や腸内環境のケアができているなら再度鉄サプリの使用を検討する。
これが望ましい鉄サプリの使い方です。
鉄サプリで体調を崩す人は大抵の場合、漫然と飲み続けています。
自分が①~⑤のどの段階かもわからずに飲み続けているのです。
そして活性酸素で肝臓の数値(ALT、AST、γ‐GTP)がとんでもない数値になった頃に体調が悪化して気が付きます。
大量の鉄サプリを飲めば一時的に元気になる人はいるかもしれません。
しかしそれは、TCA回路が回りやすく、腸内細菌叢も強靭で、消化力が有り、たんぱく質の状態も改善しやすい人です。
ところがそういった恵まれた人は稀です。
TCA回路に関わるデトックスや、腸内環境の改善だけでも四苦八苦する人がたくさんいます。
そういった体質の人が鉄サプリを飲んで体調を悪化させると「やり方が悪い」と責めて、強靭な体質を持っている人だけが鉄サプリの成功者として声を上げるのは間違っていると思います。
少し頭は使いますが、誰でも安全に行える栄養療法であってほしいと願っています。